2020年【外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導結果】労働基準関連法令違反70%超

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2020年に外国人技能実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況を2021年8月27日に厚生労働省が公表しています。

【外国人技能実習生の実習実施者】監督指導実施で労働基準関係法令違反70%超

全国の労働局や労働基準監督署が、2020年に外国人技能実習生(以下「技能実習生」)の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場。)に対して行った監督指導の結果が厚生労働省から公表されています。

外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します

2020年労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した8,124事業場(実習実施者)のうち5,752事業場(70.8%)でした。

厚生労働省の発表結果を調べて2003年からの過去の18年分見てみると
技能実習生の実習実施者に対する監督指導の結果、労働基準関連法令違反がすべての年で70%を超えています。

最近における外国人技能実習生の労働条件確保のための監督指導及び送検の状況 厚生労働省

外国人技能実習生の実習実施機関への監督指導結果労働基準関連令違率は70 超過

外国人技能実習生が労働基準関連法令に違反する労働環境で働かされ続けていることがデータからもわかります。

【外国人技能実習生の実習実施者】労働基準関係法令違反ワースト3

2020年労働基準関係法令違反が認められた外国人技能実習生の実習実施者。

労働基準関係法令の違反ワースト3は、使用する機械等の安全基準(24.3%)、労働時間(15.7%)、割増賃金の支払(15.5%)です。続いては賃金の支払い(10.4%)。

2020技能実習生の実習実施者に対する監督指導主な労働基準関連法令違反

  • 機械の安全基準を守らない危険な職場で働かされている。
  •  違法な長時間労働をさせられている。
  • 残業代が満足に支払われていない。
  • 賃金そのものもきちんと支払われていない。

外国人技能実習生の働く実態、働かせられ方の違法な実態がデータからわかります。

労働基準法(労働基準関連法令)は、働く上での最低基準です。

人としての尊厳に国籍が関係ないのは当たり前のことです。

外国人労働者への労働基準関連法令違反を見かけたら

重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検されたのは32件。

送検には至らなくても、労働基準監督署からの指導で機械の安全基準を守らない職場が改善された、未払いの賃金は支払われたりしています。

労働基準監督署に申告するように外国人労働者にアドバイスしましょう

外国人労働者への労働基準関連法令違反を見かけたら、労働基準監督署に申告するようにアドバイスしましょう。

技能実習生から労働基準監督署に対して労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告は2020年に192件ありました。

2020技能実習生から労働基準監督署に対して労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告

もっとたくさん申告されるべき状況であるのは間違えありません。

外国人労働者への労働基準関連法令違反を見かけたら、労働基準監督署に申告しましょう

労働基準法104条(監督機関に対する申告)

(1項)事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者はその事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる

2項 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

外国人労働者への労働基準関連法令違反を見かけたあなたも「労働者」ですよね?

労働者としてあなたが労働基準法違反で申告してしまいましょう。

申告労働者自身に係る違法な事実についての権利救済を目的とするものたると否とを問わない。

『平成22年度労働基準法』(下)厚生労働省労働基準局編P994

Amazon 平成22年版 労働基準法 下巻(労働法コンメンタールNo.3)

労働基準監督署に申告したときに、申告に当たらないと言われても厚生労働省も上記のようにいっていると伝えてもいいでしょう。

そもそも労働基準法104条監督機関への申告は、戦前の工場法時代の監督制度が十分に効果を発揮できなかったのは労働者の協力を忘れていたことにあると反省したものです。

事業場の欠点や法令違反を労働者が自由に監督官に通報することで、労働者保護法規を完全にそして円滑に実施する必要があったことを反省して「申告」制度があるのです。

また、申告として扱われなかったとしても、貴重な情報をもとに労働基準監督署としての責務を果たして職権をもって調査すべきことです。

労働基準監督署に行って、「相談」ではなく「申告」にきたと伝えましょう。

「まずは相談員と・・・」と言われても、「申告なので労働基準監督官と話します」とキッパリと伝えましょう。

「申告」であれば相談員ではなく労働基準監督官が対応します。

結果として申告として扱われなかったとしても、労働基準法違反の情報を労働基準監督官に伝えることができます。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格