今年(2021年)10月から東京都の最低賃金が28円上昇して時給1,041円になります。
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東京都最低賃金28円UPで時給1,041円へ
「東京都最低賃金の28円引上げを答申」
2021年7月21日に東京労働局から発表がありました。
現在の東京都の最低賃金は時給1,013円です。
1,013円から28円引き上げられて1,041円。
東京都の最低賃金は時給1,041円になります。
2021年10月1日から実施の予定です。
最低賃金は労働者に払わなければならない最低時給
会社であっても個人商店でも使用者が労働者に払わなければならない最低額以上の賃金(給料)を払わなければならないことが法律(最低賃金法)で定められています。
- 高校生のアルバイトだから安くてもいいだろう
- 外国人だから最低賃金法は関係ないだろう
- 最低賃金額より安い時給であることを伝えて労働者本人が納得して働き始めたのだからいいだろう
- コロナで売上が減っているから安くてもいいだろう
どれも最低賃金法違反で許されません。
「1ヶ月休まずに出勤したら出る皆勤手当を含めて時給換算すると最低賃金以上になる」ということも許されません。
最低賃金法違反です。
最低賃金の対象となる賃金は、時給や基本給など毎月払われる基本的な賃金です。
以下のような手当などの賃金は、最低賃金を計算するときには賃金として扱われません。
最低賃金の計算から除外する賃金 | |
---|---|
1 | 臨時に支払われる賃金(結婚手当など) |
2 | 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) |
3 | 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金 (時間外割増賃金など) |
4 | 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など) |
5 | 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など) |
6 | 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当 |
最低賃金は2種類ある
- 都道府県ごとに定められた最低時給(地域別最低賃金)
- 同じ都道府県内で特定の産業だけに適用される最低時給(特定最低賃金)
2021年10月1日から実施される東京都の最低賃金は時給1,041円というのは地域別最低賃金のことです。
特定最低賃金が適用される産業で働く場合には、特定最低賃金と地域別最低賃金の2つを比べて高い金額の最低賃金が適用されます。
都道府県別の特定最低賃金 厚生労働省
最低賃金法3条(最低賃金額)
最低賃金額(最低賃金において定める賃金の額をいう。以下同じ。)は、時間によつて定めるものとする。
最低賃金法4条(最低賃金の効力)
(1項)使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
2項 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
最低賃金未満の時給だったら労働基準監督署に申告する
労働基準関係法違反については労働基準監督署が監督指導を行なっています。
労働基準関係法とは、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、じん肺法、家内労働法、賃金の支払の確保等に関する法律などの法律です。
受け取っている賃金(給料)が最低賃金より低いときには、労働基準監督署に最低賃金法違反の申告をします。
最低賃金法違反は許されることではありませんので、労働基準監督署から是正の監督指導が行われます。悪質な場合には送検されます。
最低賃金法31条(労働基準監督署長及び労働基準監督官)
労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。
最低賃金法32条(労働基準監督官の権限)
(1項)労働基準監督官は、この法律の目的を達成するため必要な限度において、使用者の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問をすることができる。
最低賃金法33条
労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察員の職務を行う。
最低賃金法34条(監督機関に対する申告)
(1項)労働者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
2項 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
【編集日記】
日本で働くなら誰でもどんな仕事をしても1日8時間働けば最低1万円の賃金とするには、最低時給は1,250円となります。
最低賃金は都道府県ごとの地域格差がありますし、一番高い東京の2021年10月からの最低賃金でも1,041円です。
最低賃金の引き上げはまだまだこれからも必要です。残業代なしで1日8時間労働で1万円の給料は最低限受け取って少しでも安心して生活できる社会になってほしいと思います。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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