2021年度【コロナ破たん】前年度比約57%増。コロナ倒産でも未払賃金はうけとる

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2021年度のコロナ破たん(倒産)。前年度比約57%増えて1,938件。東京商工リサーチから発表されています。
コロナ破たんであっても、未払いの賃金は全額支払う義務が使用者(会社)にあります。

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「会社が倒産してしまった。まだ受けとっていない給料はどうなるんだろう?」

コロナ破たん、2021年度は前年度比1.6倍増の1938件 【2022年3月31日 現在】東京商工リサーチ

負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは、2021年度(2021年4月〜2022年3月)1938件。

前年度と比べて約1.6倍(57.3%)増加していることが東京商工リサーチから発表されています。

倒産(とうさん)とは、明確な定義はないが、概ね、個人や法人などの経済主体が経済的に破綻して弁済期にある債務を一般的に弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になること(あるいはそのような恐れが生じること)をいう。
法人の場合は、経営破綻(けいえいはたん)ともいう。

ウィキペディア(Wikipedia)

東京商工リサーチの発表によると コロナ破たんは2022年度も引き続き増勢が続くとの見通しです。

コロナ破たん、2021年度は前年度比1.6倍増の1938件 【2022年3月31日 現在】」東京商工リサーチ

会社経営が破たん(倒産)しても、賃金は全額を労働者に払わなければ法律違反

賃金は全額を労働者に支払わなければならないことが法律でさだめられています。

たとえ会社経営が破たん(倒産)しても、未払の賃金は全額を支払う義務が使用者(会社)にあります。

賃金の全額払いの義務に違反することは、30万円以下の罰金となる犯罪です。

労働基準法24条1項(但し書き以降略)

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない

また会社が倒産しても、労働者を即日解雇する場合には解雇予告手当を支払う法律上の義務があります。

即日解雇するためには平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払義務が使用者(会社)にあります。(労働基準法20条)

労働基準法20条(解雇の予告)

(1項)使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。

30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

2項 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

3項 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

労働基準法19条2項

前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない

「但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」は解雇予告手当の支払義務が免除されることになっていますが、行政官庁(労働基準監督署)の認定をうけることが前提です。

労働基準監督署の認定をうけずに解雇予告手当を支払わずに即日解雇することは、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる労働基準法20条違反の犯罪です。

解雇予告手当を支払わなくてよいという労働基準監督署の認定をうけるための「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」とは、非常に厳しい条件であり簡単には認められません。

「やむを得ない事由」 「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由の意であり、事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいう。
該当
する
(1) 事業場が火災により焼失した場合。ただし、事業主の故意又は重大な過失に基づく場合を除く。

(2) 震災に伴う工場、事業場の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合。

該当
しない
(1)事業主が経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械、資材等を没収された場合。

(2)税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合。(3)事業経営上の見通しの齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由に起因して資材入手難、金融難に陥った場合。個人企業で別途に個人財産を有するか否かは本条の認定には直接関係がない。

(3)従来の取引事業場が休業状態となり、発注品なく、ために事業が金融難に陥った場合。

労働法コンメンタール 平成22年版『労働基準法』上(厚生労働省労働基準局編)P282・283から作成

コロナにより経営破たん(倒産)した場合でも、未払賃金、解雇予告手当を支払わないことは労働基準法違反です。

関連記事
【解雇予告】倒産でも解雇予告・解雇予告手当の支払いが必要

未払賃金、解雇予告手当を支払わないことは労働基準法違反です。
労働基準監督署で申告しましょう。

労働基準法違反の申告は労働基準監督官に対しておこないます。
相談ではなく申告であることを告げて、労働基準監督官と話をすると伝えます。

未払賃金立替払制度で未払賃金の8割を国からうけとれる

未払賃金(労働債権)は他の債権(一般債権)よりも優先して回収することができます。

未払賃金の先取特権についての関連記事
【事実上の倒産】未払賃金には先取特権がある

コロナ破たん(倒産)した場合でも、未払賃金は先取特権があります。
税金や社会保険料のつぎに労働債権が優先されます。

しかし、差押えなどの手続きが遅れて倒産した会社の資産が残っていない場合など未払賃金を回収できなくなる場合があります。

そのときでも、未払賃金立替払制度を利用することができます。
未払賃金立替払は未払賃金の8割を国からうけとれる制度です。

未払賃金立替払は法律上の倒産以外にも、中小企業であれば事実上の倒産でも利用できます。

事実上の倒産の認定は労働基準監督署がおこなっていますので、相談してみましょう。

未払賃金立替払制度の関連記事
【未払賃金立替払制度】倒産で未払い。給料・退職金8割受けとれる

【編集後記】

新しいiPadAir(第5世代)を買ってPDF書類のViewerとしての使い勝手を試しています。
10.9インチの画面1つで数百枚の資料をめくって見るのは、やはり紙にはかないません。パラパラと指でめくることができるのは紙の強みです。
しかし、紙ではできないデジタルデータならではの使い方があります。
リンクを埋め込んでハイパーリンクで他の資料を開いたり、PDFにアウトライン(しおり)を作成することで目次から該当するページを開くこともできます。
アウトラインを作成するのに手間と時間がかかるのですが、一度つくってしまえばラクになるのがいいところです。

PDF Expert 1

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格