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2021年度東京労働局管内での労働基準関係法令違反による検察への送検数81件
2021年6月1日〜2022年5月31日に各労働局が公表した労働基準関係法令違反で送検した事案は382件あります。
検察に送検したことを労働局が公表した382件のうち320件、全体の84%が労働安全衛生法違反の事案でした。
こちらの記事で紹介しました。
【発表労働基準関係法令違反の公表事案】84%が労働安全衛生法違反(2022年6月30日厚労省公表)
公表事案だけではない、送検状況について2021年度(2021年4月〜2022年3月)分が東京労働局から発表されています。
「令和3年度の東京労働局管内における送検状況について」東京労働局
送検数81件のうちわけは、労働基準法と最低賃金法の違反を合わせて36件、労働安全衛生法違反が45件。
送検は81件は、2020年度(70件)から11件の増加です。
年度 | 労働基準法等違反 | 労働安全衛生法違反 | 送検数 |
---|---|---|---|
2012 | 21 | 41 | 62 |
2013 | 34 | 24 | 58 |
2014 | 31 | 23 | 54 |
2015 | 41 | 22 | 63 |
2016 | 29 | 21 | 50 |
2017 | 27 | 30 | 57 |
2018 | 46 | 32 | 78 |
2019 | 23 | 17 | 40 |
2020 | 34 | 36 | 70 |
2021 | 36 | 45 | 81 |
東京労働局「[ 表1] 過去10年間における送検件数の推移」から作成
検察への送検の最多は危険防止措置違反
2021年度に東京労働局が検察に送検した事案の55.6%が労働安全衛生法関係の違反でした。
送検数81件のうち45件が労働安全衛生法関係の違反。
危険防止措置(労働安全衛生法20条、21条など)違反が36件と最多です。
2020年度の19件から2021年度36件へと倍増に近い送検数が危険防止措置違反です。
東京労働局「[ 表2] 違反法条別の前年度との比較」から作成
2022年度も重大・悪質な事案は引き続いて送検を含めて厳正に対処する方針
東京労働局とその管下の労働基準監督署では、重大・悪質な労働基準関係法令違反の事案に対して、引き続いて検察への送検を含めて厳正に対処するとしています。
労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの違反は労働基準監督官に申告して是正を求める
東京労働局管内で検察に送検した件数は2021年度で81件でした。
1年度で81件の送検数は決して少ない数ではありません。
しかし「送検」されるのは、重大悪質な事案の場合です。
送検されなくても、監督指導によって調査・指導・改善確認が行われます。
少なくとも現状よりも職場がよくなることが期待できます。
厚生労働省「労働基準監督官の仕事」から引用
労働基準監督官が行なう指導は、各労働局の方針をふまえて監督計画、労働災害が発生したときの災害調査のほかに、電話・当初などの情報や労働者からの「申告」によっても行われます。
労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの労働基準関係法令違反は、労働基準監督官に申告して、法令違反の是正指導をもとめることができます。
是正指導の結果、未払い残業代が全額支払われずに一部支給にとどまることもありますが、残る未支給は民事の問題として支給をもとめていくこともできます。
会社に指摘しても改善されなければ、
まずは、労働基準関係法令違反は労働基準監督官に申告しましょう。
労働基準法104条(監督機関に対する申告)
(1項)事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2項 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
【編集後記】
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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