雇用保険の基本手当いわゆる「失業手当」のことですが、2022年8月1日からの日額が上がります。
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基本手当日額(失業手当の日額)は毎年8月1日から変更される
基本手当日額とは、雇用保険から支給される基本手当(失業手当)の1日当たりの金額のことをいいます。
基本手当日額は、毎年8月1日から自動的に変更されることになっています。
厚生労働省が実施している「毎月勤労統計」の調査結果から年度(4月1日〜3月31日)の平均定期給与額の増減(変動率)にしたがって、8月1日からの基本手当日額を増減することが法律でさだめられているからです。
雇用保険法18条(基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の範囲等の自動的変更)
(1項)厚生労働大臣は、年度(4月1日から翌年の3月31日までをいう。以下同じ。)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者1人当たりの給与の平均額をいう。以下同じ。)が平成27年4月1日から始まる年度(この条の規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。
2項 前項の規定により変更された自動変更対象額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。
基本手当日額には、最低額と最高額があります。
最低額は年齢にかかわらず一律にさだめられ、最高額は年齢ごとにさだめられています。
基本手当日額の最低額・最高額ともに毎年8月1日から変更されます。
2022年8月1日からの基本手当日額は最低額・最高額ともに上がります。
毎月勤労統計の平均定期給与額が、2020年度の337,053円から2021年度は340,803円へと1.011124105倍増加したためです。
2022年8月1日から基本手当日額の最高額が引上げ
2022年8月1日から基本手当日額の最高額は以下の表の金額へ引上げられます。
基本手当日額の最高額は、年齢ごとにことなります。
年齢 | 2022年8月1日 〜2023年7月31日 |
2021年8月1日 〜2022年7月31日 |
---|---|---|
60歳〜65 歳未満 | 7,177 円(+81 円) | 7,096 円 |
45歳〜60 歳未満 | 8,355 円(+90 円) | 8,265 円 |
30 歳〜45 歳未満 | 7,595 円(+85 円) | 7,510 円 |
30 歳未満 | 6,835 円(+75円) | 6,760 円 |
2022年8月1日から基本手当日額の最低額が引上げ
年齢 | 2022年8月1日 〜2023年7月31日 |
2021年8月1日 〜2022年7月31日 |
---|---|---|
年齢関係なく一律 | 2,125 円(+64円) | 2,061 円 |
厚生労働省が実施している「毎月勤労統計」の年度平均の固定給与額の増減(変動率)にしたがって、8月1日からの基本手当日額の最低額が増減します。基本手当日額の最高額と同じ計算方法です。
しかし、基本手当日額の算定基礎となる賃金日額の最低額が最低賃金日額を下回る場合には、最低賃金日額を賃金日額の最低額とすることが法律でさだめられています。
雇用保険法18条3項
前2項の規定に基づき算定された各年度の8月1日以後に適用される自動変更対象額のうち、最低賃金日額(当該年度の4月1日に効力を有する地域別最低賃金(最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第1項に規定する地域別最低賃金をいう。)の額を基礎として厚生労働省令で定める算定方法により算定した額をいう。)に達しないものは、当該年度の8月1日以後、当該最低賃金日額とする。
2022年8月1日からの基本手当日額の最低額は、最低賃金日額に、基本手当の給付率の上限である80%を乗じて計算した金額である2,125円になります。
【編集後記】
最低賃金は、雇用保険の基本手当(失業手当)の日額の最低額にもかかわっています。
毎年10月から変更される最低賃金。今年10月からの最低賃金をいくらにするか?検討がはじまっています。
最低賃金の全国加重平均額が現在930円、高知県・沖縄県の820円がもっとも低い金額です。
労働基準法の最低基準である1日8時間労働で(最低賃金は減額の特例許可をのぞいて)だれでも1日働けば1万円の賃金を受けとるためには、どの都道府県でも最低賃金が1,250円となる必要があります。
最低賃金の大幅引き上げが必要です。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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