産休・育休の期間中は、厚生年金と健康保険の保険料が免除されることを知ってますでしょうか。
2つの社会保険の保険料が免除されることを知っている方でも、健康保険の給付や将来うけとる年金額はどうなるのか心配だという方もいるかもしれませんね。
産休・育休による休業期間中の、社会保険料免除について簡単に知っておきましょう。
Contents
Q.産休・育休の期間は厚生年金・健康保険の保険料が免除されると聞いたが本当か?
Q.産前産後休業中・育児休業期間中の、厚生年金保険・健康保険の保険料はどうなるのですか。
A.産前産後休業期間中・育児休業期間中の厚生年金・健康保険の保険料は、事業主が届出ることで、労働者(被保険者)負担分、会社(事業主)負担分、労使それぞれの負担分の保険料が支払い免除されます。
労働者(被保険者)から、産前産後休業・育児休業の休業取得の申し出をうけた事業主は、管轄する年金事務所に届出書を提出します。
・產前產後休業取得者申出書
・育児休業等取得者申出書
産前産後休業期間中の保険料免除期間と育児休業の保険料免除期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されます。
産前産後休業期間中の厚生年金・健康保険の保険料の免除期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までです。
産前産後休業期間中とは、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間のことです。
出産とは、妊娠85日(4カ月)以上の分娩をいいます。出産には、早産、死産、流産、人工妊娠中絶が含まれます。
育児休業等期間の健康保険・厚生年金保険の保険料の免除期間は、育児休業等を開始した日の属する月から育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までです。
開始日の属する月と終了日の翌日が属する月が同じ場合には、月に14日以上育児休業等を取得した場合は保険料が免除されます。(2022年10月1日以降に育児休業を開始した場合)
Q.産休・育休の期間の健康保険・厚生年金の保険料が免除された場合、健康保険の給付や将来の年金額はどうなる?
Q.産前産後休業中・育児休業期間中の健康保険・厚生年金の保険料が免除された場合には、健康保険の給付が制限されたり将来うけとる年金額がへってしまうのでしょうか?
A.産前産後休業期間中・育児休業等期間中の厚生年金保険料の免除期間。この免除期間は、保険料の支払いは免除されますが、保険料を支払ったのと同じ扱いになります。
労働者(被保険者)の方が将来に受けとる年金額は、保険料を支払った期間として扱われます。厚生年金保険料の支払いが免除されても年金額がへらされることはありません。
健康保険の給付は、免除期間についても通常どおりに受けることができます。
Q.産休・育休の期間の厚生年金・健康保険の保険料の免除。免除される保険料はいくら?
Q.産前産後休業中・育児休業期間中の健康保険・厚生年金の保険料が免除された場合には、支払わずにすむ保険料は総額でいくらになるのでしょうか?
A.毎月給料が天引きされている健康保険・厚生年金の保険料と休業期間によって、保険料の支払いが免除される金額が異なります。
毎月うけとる給料の金額(標準報酬月額)によって、支払う健康保険・厚生年金の保険料の金額がきまります。
標準報酬月額によって決められている保険料の全額が、産前産後休業・育児休業期間の間支払いが免除されます。
1例として支払いが免除される健康保険・厚生年金の保険料の金額をみてみましょう。
健康保険と厚生年金、2つの社会保険の保険料の半額以上は事業主が支払うことになっています。
労働者が支払う分の社会保険料は、給料から差し引かれ(天引きされ)ます。
社会保険料の支払いが、事業主6割で労働者4割など会社負担が多く労働者負担が少ない場合があります。
社会保険料負担が労使折半、労働者と事業主が半額づつ負担する場合をみてみましょう。
東京で働いている労働者で、給料が月額20万円(標準報酬月額200,000円)の40歳未満の方の例です。
2023年4月の給料から差し引かれる健康保険の保険料は10,000円、厚生年金保険料は18,300円。
合わせて給料から差し引かれる社会保険料は月額28,300円です。
同じ金額を事業主(会社)も支払います。
毎月の社会保険料28,300円が休業期間の間は免除されることになります。毎月の社会保険料を休業期間中は払わなくて良いので助かりますよね。
たとえば、産前産後休業期間4ヶ月、育児休業等期間8ヶ月、合わせた休業が12ヶ月だった場合、社会保険料が免除される金額は合計339,600円になります。
給料(標準報酬月額)によって支払う社会保険料は異なりますので、差し引かれる厚生年金と健康保険料の保険料を4月以降の給料明細で確認してみましょう。
【編集後記】
昨日(2023/03/28)は用事で出かけた途中で寄り道して、都内の大きな公園で花見をしました。
週末の雨で桜は散ってしまったかと心配しましたが、綺麗に咲いていました。
平日だったからか、お酒を飲んだり騒いだりしている人もなく、散歩しながら静かに花見を楽しめました。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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