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“君、辞めてくれ!”と言われた。法的にはどういう意味になるでしょうか?
たとえば、あなたはアルバイトをしている方です。
バイト先の店長から、
“君、辞めてくれ!” または、
“君、明日からもう来なくていい!”と言われました。
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”
これはどういう意味だと思いますでしょうか?
“私はクビにされたんだ!”と思いましたでしょうか。
しかし、そうとは限りません。
労働契約の終了は3つある。
アルバイトも労働契約です。
この労働契約の終了には大きく分けて3つの種類があります。
解雇
解雇は、使用者(勤め先、バイト先)からの労働契約の一方的な解約のことです。
労働者(勤め人、アルバイトしている方)が合意するかしないかは関係ありません。
解雇は、有効な場合と無効な場合とがあります。
解雇をするには、正当な事由(事情や理由)が必要です。
正当事由が欠けている解雇は、
解雇権を濫用した(権利を不当に使った)ものですから、無効になります。
労働契約法16条
解雇権を濫用したものかどうかは、解雇した理由がわからなければ判断できません。
解雇理由をはっきりとさせるために、
労働者(勤め人、アルバイトしている方)が求めたら、
使用者(勤め先、バイト先)は解雇の理由を書いた文書(証明書)を渡す義務があります。
労働基準法22条
解雇が有効な場合であっても、
使用者(勤め先、バイト先)は、労働者(勤め人、アルバイトしている方)に少なくても30日前までに解雇予告(解雇することを伝えておく)をしなければなりません。
もしも、“君、明日からもう来なくていい!”が解雇だった場合は、30日分以上の平均賃金を労働者に支払う義務があります。
労働基準法20条1項
労働契約の合意解約
合意解約とは何でしょうか。
たとえば、2人の方がいて、1人がもう1人に対して、“これを売ってください”と言いました(申込)。
もう1人がこの申込に、“はい売ります”と言いました(承諾)。
申し込みと承諾が一致しました。
この申込と承諾の意思が一致することで契約(この場合は売買契約)が成立します。
成立した契約は、契約の内容が法律に違反しているなど何か特別な問題がない限りは守る義務があります。
契約とは法的な約束のことです。成立した契約は守るように法(国家)で強制されます。
合意解約とは、契約をしたお互いが合意して、“成立した契約をこれから先(将来に向かって)消滅させる”という契約のことです。
ですから、合意解約はどちらかが契約した相手に対して解約を申し込み、相手が解約の申し込みに承諾することで成立する契約です。
合意解約は、解約の申し込みの意思と承諾の意思が合致することで成立します。合意解約という契約です。
解約を申し込んだとしても、相手が解約の申し込みに承諾しない場合には、契約を解消すること、合意解約は成立しません。
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”
“君、辞めてくれ!”が、“君、辞めてください”という解約の申し込み。
“君、明日からもう来なくていい!”が、“君、今日で労働契約を終了にしてくれないか”という解約の申し込み。
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”
これが、もし、労働契約の解約の申し込みだとすれば、
あなたが“はい、いいですよ。辞めます”と承諾しない限り、
労働契約を終了することはできません。労働契約はこれまで通り続きます。
辞職
解雇は使用者から労働者への一方的な労働契約の解約でした。
辞職は労働者から使用者への一方的な労働契約の解約のことです。
民法では雇用契約(労働契約)は労働契約の期間が決まっていない場合は2週間前に解約を予告(解約することを伝える)することで契約を終了できます。
民法627条
例えば、3ヶ月など期間を決めた契約でアルバイトをしている場合は、やむを得ない事由(事情や理由)があれば解約(辞職、アルバイトを辞めること)ができます。
民法628条
契約したのだから辞めさせないと言われて困った場合は、労働基準監督署などに相談にいきましょう。
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”と言われたら、“解雇理由を紙に書いてください”と言おう。
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”
この言葉だけでは、本当の意味はわかりません。
クビにする、つまり解雇かもしれません。
あなたに退職するように申し込んでいるだけかもしれません。(退職勧奨)
労働契約を解約することの申込みであれば、あなたが承諾の意思表示をすることで、労働契約解約の契約が成立します。退職を申し込むようにと話している、あなたが退職を申込むように誘引している(誘っている)だけなのかもしれません。
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”
解雇なのか?退職勧奨なのか?わかりません。
解雇であれば、解雇予告手当を支払うように要求されてしまうかもしれませんので、
あえてはっきりしない言い方をして、辞めてしまえばラッキーと思っているのかもしれません。
これからも働きつづけると思っている場合でも、
不当な解雇ではあるけれども、こんなところではもう働きたくないから解雇予告手当を受け取って、他で働くと考えたとしても、
“君、辞めてくれ!”、“君、明日からもう来なくていい!”と言われたら、
“解雇するということですか?解雇するというのでしたら、理由を紙に書いて渡してください”と言ってみましょう。
先程も書きましたが解雇理由の証明書を労働者が請求したら使用者は書いて労働者に渡さなければならないと労働基準法22条で義務づけられています。
今日の1日1新:ブルーライトカットレンズ
度が進んで遠くがはっきり見えないので新しいメガネを作ることにしました。
前から気になっていたブルーライトカットレンズにしました。
メガネ屋さんの話では、パソコンによる目の疲れが減るとのことです。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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