国民の2人に1人は一生のうちに1回はがんになると言われています。
がんになっても、治療をしながら、仕事を続けていく。
本人が働くことを希望するなら、傷病手当金や障害年金を活用して働くこともできます。
がん(癌)になっても、治療しながら働くこともできる
「がんになって、これから治療や仕事をどうしようか」と考えたり悩んでいる方。
「がんになった方が職場にいる」という方もいるでしょう。
がんを治療しながら働くこともできます。
働かなければならないのではありません。
もしも、がんを治療しながら働いていきたいと自分が考えるなら、働くこともできます。
資料もいろいろと出ていますので、参考にしましょう。たとえばこちらも。
作成グループ平成29年度厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業(がん政策研究事業) 「働くがん患者の就労継続および職場復帰に資する研究」
会社(事業場)が適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、がん・脳卒中などの病気をもつ人が治療と仕事が両立できるようにする。
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(全体版)令和3年3月改訂版
事業場における取組などをまとめたガイドラインを厚生労働省が作成していますので参考にしましょう。
今や、国民の2人に1人は一生のうちに1回はがんになると言われています。しかし、がんになっても、治療をしながら、仕事を続けていく方も増えてきています。
「がんと共に働く〜本人編」はタレントのピーコさんが目のがんになった自分自身の体験について書いていて、私はとても強く胸を打たれました。
がんになること、がんになって働くことについて、イメージがつかないという方もいるのではないでしょうか?
「がんと共に働く まず一歩前へ」を読んでみてはいかがでしょう。
がんと共に働く まず一歩前へ 国立がん研究センターがん情報サービス
がん(癌)治療をしながら働き続けるために、傷病手当金と障害年金を利用することができます。
治療費については健康保険の高額療養費が利用できますので、自己負担限度額の範囲で治療を受けることができます。
高額療養費についてはこちらの記事で紹介しています。
白血病の新薬3349万円。医療を受ける本人負担は約40万円で済むのはなぜ?<高額療養費>
【がん(癌)】でも受給できる傷病手当金
手術や抗がん剤・放射線治療など、治療や療養のためにしばらくのあいだ仕事を休まなければならないこともあるかもしれません。
働けずに療養のために仕事を休む期間は、最長で1年6月、健康保険から傷病手当金を受けることができます。
傷病手当金は給料の約3分の2を受けとることができる制度です。
もちろん、がんの療養のための休業にも傷病手当金を利用することができます。
健康保険法99条4項
傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して1年6月を超えないものとする。
また、条件を満たす場合は、退職後も傷病手当金を受けることができます。
こちらの記事で紹介しています。
【がん(癌)】でも受給できる障害年金
がんによる障害年金も他の病気やケガと同じように、原則として初診日から1年6月経過した日を障害認定日として障害の程度が判断されます。
しかし、初診日から1年6月経過を待つことなく障害年金をうけられる場合もあります。
永久人工肛門・尿路変更術・新膀胱造設・喉頭全摘出など、摘出時・造設時や手術時から一定の月数経過日を障害認定日として2級3級の障害年金が認定されるものがあります。
がんそのものの症状だけでなく、在宅酸素療法・治療の副作用による倦怠感、体重減少などの全身衰弱などの症状による障害年金の請求もできます。
がん(悪性新生物)による障害
- 悪性新生物、そのもの(原発巣・転移巣を含む)によって生じる局所の障害
- 悪性新生物、そのもの(原発巣・転移巣を含む)による全身の衰弱又は機能の障害
- 悪性新生物に対する、治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
がんの治療・療養、治ったあとの障害など、がんになる前と同じようには働けないかもしれません。
労働時間を短くしたり、出勤日を減らす必要があるかもしれません。
そのために給料が少なくなっても障害年金をうけとることができればある程度の収入を確保できます。
もちろん、障害年金がうけられずに生活するために必要な収入がたりず、生活費にあてていけるほどの資産もなければ、生活保護を利用することができます。
【編集後記】
がんの治療や療養のために休業が必要な場合には、傷病手当金をうけながら仕事を休むことができます。
治療については、高額療養費を受けることができますので自己負担限度額だけで健康保険内での高額の医療がうけられます。
治療や療養をうけながらの症状による障害、あるいはがんが治ったあとの障害についても、障害年金をうけることができます。
がんの治療・療養の期間も、がんが治ったあとも、社会保険と年金を活用しながら、働く・働き続けるという選択もあります。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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