ADHDやASDなどの発達障害。
発達障害の特性が問題となるのは子どもだけではない、という認識は広がってきました。
成人してからの青年が発達障害の特性によって日常生活での困難や働く上でのトラブルに注目されるようになりました。
大人の発達障害は青年にかぎりません。
体力・気力を使って力技で乗り切ってきた青年期が終わり、力技では困難やトラブルに対処できなくなってきた中高年。
中高年ではじめて発達障害の特性が問題としてあらわれてくることがあります。
Contents
【中高年の発達障害】中高年になってからの困りごとが発達障害の特性による問題である可能性
年のせい?
それとも前から?
これまで苦手ながらに何とか乗り切ってきた困りごとが、年齢とともに一気に問題としてあらわれてくることがあります。
- 最近めっきり日常生活で困っている場面が増えて困惑している。
- 仕事でのトラブルが多く対処できなくなってきた。
こんな問題が中高年になってからあらわれてきて困っている。
自分自身が中高年、あるいは親や連れ合い(夫や妻)の方が中高年になってから、日常生活での困難や働く上でのトラブルで困ってしまっているという方。
若い頃から日常生活で困りごとや仕事でのトラブルが少なくなかったけれど、体力があったので無理して頑張って何とか乗り切ってこられた。睡眠時間を削ってでもやり遂げることだってできてきた。
- そそっかしかしくてミスが多く家事を終えるのが大変だった。
- こだわりが強く自分が納得できるまで細かく仕上げないと仕事を終えられず残業の毎日だった。
など。
それが、年齢とともに体力も少しづつ落ちてきて、中高年になって頑張りでは乗り切れなくなってしまった。
- 忘れ物が多い。家事や買物などができなくなってしまった。
- 約束を忘れて、顧客との大事な商談の待ち合わせを何度もすっぽかしてしまう。
- 自分のやり方にこだわってしまい、仕事が定時または規制された残業時間に終わらなくて繰り返し指導を受けて落ち込んで仕事に行けなくなっている。
若いころは体力・気力で乗り越えられた困難やトラブルに、中高年になってから対応できなくなってしまった。
物忘れがはげしい。こだわりが強く頑固。
「中高年になった今、認知症の症状とよく似ているとも思うが、若いころからあった特徴でもあるんだよな・・・」
こんな悩みを持っているのでしたら、精神科を受診してみてはいかがでしょう。
中高年の方は「認知症はまだ早い」と思っていても、
65歳未満で発症する若年性認知症の可能性もあります。
若年性認知症ハンドブック 厚生労働省
「認知症と症状が似ている。だけど、若いころから(本人は気がついていなくても)特徴があったよな。」
ひょっとしたら、ADHD・ASDなどの発達障害の特性による可能性もあります。
認知症と発達障害。どちらの場合でも、精神科を受診して診断を受けることができます。
『マンガでわかる中高年のADHD・ASD生きづらさ克服ガイド』
「中高年になってから発達障害?」
不思議に思われるかもしれません。
子どものころから高校・大学を卒業するまでは学校や親のサポート、学校卒業後も体力・気力で頑張ることで、困りごとに対処してこられたり、なんとか乗り切ってこられた。
親や学校のサポートも得られず、体力・気力も青年期ほどではなくなった中高年。
発達障害の特性自体がもとからあったのが、中高年になって日常生活の困難や働く上でのトラブルを乗り切れなくなって問題となっているのかもしれません。
中高年の発達障害について知りたいと思ったときに、読んでわかりやすい本があります。
『マンガでわかる中高年のADHD・ASD生きづらさ克服ガイド』です。
マンガで解説されているページも多くありますので、読みやすい本です。
Amazon 『マンガでわかる中高年のADHD・ASD生きづらさ克服ガイド』 単行本 – 2022/9/14 福西 勇夫 (著), 福西 朱美 (著)
認知症のようにも思えるが、若いころからある特性でもある。
中高年になって日常生活や働く上で困難をかかえている方、あるいは中高年の親がいるお子さんや連れ合いの方。読んでみてはいかがでしょう。
中高年の発達障害と障害年金
「若いときは生活も仕事も何とかなっていたのに、中高年になって日常生活も仕事も困難になってしまった。」
「念のための健康診断のときに認知症検査も受けてみたけど、認知症ではなかった。」
中高年の発達障害なのかもしれません。
発達障害は子どもだけの問題ではないという認識が広がってきました。
青年期は体力・気力があり、なんとか乗り切ってくることができた生活と仕事。
中高年になって力技が使えなくなって、日常生活や働くことに困難が大きくなってくることは不思議ではありません。
病院に行って診断を受けて、中高年になってはじめて発達障害であることがわかった。
発達障害であるという診断を受けて、社会的なサポートを得ることで日常生活の困難さを少しでも減らしていくことができます。
今までのような働き方が難しいこともあるでしょう。
中高年になってからはじめて発達障害と診断された方も、条件を満たせば障害年金を受給することができます。
障害の状態(程度)、障害の原因となる病気やケガで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に厚生年金に加入していたか、初診日の前日の保険料の納付状況はどうか。3つの条件を満たすと障害年金を受給できます。
詳しくは、障害年金の請求に専門的に取りくんでいる社会保険労務士に相談してみましょう。
発達障害というと、子ども、せいぜい青年期で問題となる特性だと思うかもしれません。
しかし、発達障害は生まれつきの特性ですから、生涯にわたって問題となる場面に出会う可能性があります。
この記事では65歳以上を高年、40歳~65歳未満を中高年としてみていますが、この中高年の方でも条件をみたせば発達障害や認知症で障害年金の受給ができます。
中高年となってからはじめて、発達障害の特性による日常生活の困難や働く上でのトラブルに対処できなくなる可能性もありますから、障害年金の請求を考えてみましょう。
障害年金の受給3要件 参考記事
障害の原因となる病気やケガで初めて病院を受診したのがサラリーマンなど厚生年金加入中でしたら、障害年金の障害等級3級の状態でも障害年金を受給することができます。
働いているから障害年金を受給できないというものでもありませんし、障害年金を受給して収入を得ることで勤務日数を減らして無理なく働きつづけることもできるかもしれません。
働くことと障害年金 参考記事
【働いていても障害年金を受けとれる】障害年金受給者の3人に1人は働いている
【障害厚生年金受給者】主な収入源が本人の労働収入と障害厚生年金の2つという労働者15%
中高年でも条件を満たせば、発達障害による日常生活の困難や働く上でのトラブルにより障害年金の受給ができる。
知っておいていただければと思います。
中高年の発達障害による障害年金請求の相談・手続きの依頼についてもお申し込みいただけます。
【編集後記】
先週ときのう。用事で埼玉県の入間市に出かけました。
この入間市の花屋でハロウィンに合わせてかぼちゃナスという鉢植えの植物が売っていました。
「かぼちゃでナス!?」
確かにかぼちゃの形の小さな実が木になっています。
ネットで検索したところソラナムパンプキン。ナス科植物だそうです。
かぼちゃの形をしたナス。ハロウィン向けのかわいい植物です。
ハロウィンの本番は今日(10/31)でしょうか?
韓国では大変な事故が起きてしまいましたが、このような事故は二度と起こらずに安全に楽しめるお祭りの日になってほしいです。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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