新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和2年法律第54号)が2020/06/12(金)成立しました。新型コロナウィルス感染症の影響で休業した労働者に給料の8割最大1月で33万円が支給されます。
2020/07/07( 追記 )
支給申請書などダウンロードできるお知らせが厚生労働省ホームページに掲載されました。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 厚生労働省
(厚生労働省資料から引用。赤線枠は目立つように本記事用に囲んだものです。)
Contents
会社から休業手当を受けることができない労働者は、国から直接給付金を受け取れる制度ができた
新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和2年法律第54号)が2020/06/12(金)に成立・施行されました。
「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(五四)」特別号外 (第75号)インターネット版官報
新型コロナウイルス感染症などの影響で会社に休業させられた労働者は休業手当を受けることができますが、休業手当を受けることができなかった労働者への対応が求められていました。
この臨時特例法が成立・施行されたことで、対象となる労働者は国から直接給付金(新型コロナウイルス感染症対応休業支援金)を受けることができるようになります。
新型コロナウイルス感染症などの影響によって会社に休業させられている期間の全部または一部について給料を受けられなかった、中小企業の労働者が休業支援金を受ける対象になります。
新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律
4条(雇用保険法による雇用安定事業の特例)
政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、雇用保
険法第62条の雇用安定事業として、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった同法第四条第一項に規定する被保険者(次条第一項において「被保険者」という。)に対して、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給する事業を実施することができる。5条(被保険者でない労働者に対する給付金)
政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった被保険者でない労働者(厚生労働省令で定める者を除く。)に対して、予算の範囲内において、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金に準じて 特別の給付金を支給することができる。
【新型コロナウイルス感染症対応休業支援金】の対象者は中小企業で働く労働者
休業支援金を受けられる対象者は中小企業で働く労働者です。中小企業は以下の表を参考にしてください。
中小事業主とは | (業種による例外) |
---|---|
その資本金の額又は出資の総額が3億円を超えない事業主 | (小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円) |
(卸売業を主たる事業とする事業主については1億円) | |
常時雇用する労働者の数が300人を超えない事業主 | (小売業を主たる事業とする事業主については50人) |
(卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人) |
表は厚生労働省令第125号第3条1項より作成
【新型コロナウイルス感染症対応休業支援金】の給付額は休業前賃金の80%月額上限33万円
3条 | 厚生労働省令第125号 | 休業支援金を受け取れる労働者・給付内容 |
---|---|---|
1項 | 令和2年4月1日から同年9月30日までの間に新型コロ ナウイルス感染症等の影響(法第3条第1項第3号に規定する新型コロナウイルス感染症等の影響 をいう。)により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支 払を受けることができなかった雇用保険法第4条第1項に規定する被保険者であって、中小事業主 (略)に雇用されるものに対して支給するものとする。 | 2020年4月1日〜2020年9月30日新型コロナウィルス感染症関連で会社から休業させられたが休業手当が支給されなかった中小企業の雇用保険の被保険者が対象。 |
2項 | 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金は、休業させられている期間から、当該期間のうち就業した日数(当該就業した日における就業時間が四時間未満の場合は、当該就業をした日数に二分 の一を乗じて得た日数)及び育児休業その他事業主がさせた休業ではないものとして厚生労働省職 業安定局長(以下この条において「職業安定局長」という。)が定めるものに係る日数を減じて得た日数に応じて支給する | 会社に休業させられている期間から、働いた日や育児休業などの日を除いた日数。(1日4時間未満勤務の場合は半日として計算する) |
3項 | 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金は、第1項に規定する被保険者の賃金日額(休業を開始した月前6月のうちいずれかの3月に支払われた賃金(賞与を除く。)の総額を90で除して得た額をいう。)に100の80を乗じて得た額(当該額が1万1千円を超えるときは、1万1千円)を 日額とする。 | 休業開始前の6ヶ月の内のどれか3ヶ月に支給されたボーナスを除いた賃金総額を90日で割った額(賃金日額)の80%を支給(上限額11,000円)する。 |
休業支援金の手続き
3条 | 厚生労働省令第125号 | 休業支援金を受け取るための手続き |
---|---|---|
8項 | 第1項に規定する被保険者は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の支給を受けようとす るときは、職業安定局長の定めるところにより、その事業主の適用事業の事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に対して、第3項の賃金日額の算定の基礎となる情報その他必要な事項を記載した申請に必要な書類を提出するものとする。 | 休業支援金を受けられる労働者はハローワークが定める方法で会社を管轄する労働局長に申請書・必要書類を提出する。 |
9項 | 前項の書類の提出は、事業主を経由して行うことができる。 | 手続きは会社経由でもできる。 |
詳しい手続きが決まり次第、厚生労働省から発表され、リーフレットなどで案内が出ることになるでしょう。
新たな個人給付制度は雇用保険の被保険者以外の労働者にも給付される
雇用保険の被保険者でない労働者についても、休業支援金に準じた給付金が支給されます。
5条(被保険者でない労働者に対する給付金)
政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった被保険者でない労働者(厚生労働省令で定める者を除く。)に対して、予算の範囲内において、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金に準じて 特別の給付金を支給することができる。
【編集後記】
この法律の成立・施行にともない社会保険労務士法が一部改正されました。
別表第1第20号の27の次に次の1号を加える。
20の28 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和2年法律第54号)
社会保険労務士法 2条(社会保険労務士の業務)
社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
1 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識できない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。
1の2 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
1の3 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この号において「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること(第25条の2第1項において「事務代理」という。)。
(以下略)
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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