今朝(2020/10/23)の東京新聞の一面に「休業支援金の支給 会社協力なしでも」「厚労省 利用増へ新基準」とあります。
この記事の内容が事実であれば、新型コロナウイルス休業支援金の給付を求める労働者にとって朗報です。
<追記>2020/10/30に厚生労働省から発表されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000689989.pdf
<追記>2020/10/30 東京新聞の報道記事
休業支援金、非正規でも受け取りやすく 厚労省が新規準:東京新聞 TOKYO Web
Contents
会社協力なくても休業支援金を支給する新基準を今月(2020年10月)中に厚生労働省が作成する?
今朝(2020/10/23)の東京新聞の一面に大見出しで「休業支援金の支給 会社協力なしでも」、中見出しには「厚労省 利用増へ新基準」とあります。
「会社の協力」が得られない場合でも、休業前の勤務実態などを踏まえ、審査に当たる労働局が支給を認める方向だ。
東京新聞 TOKYO Webにも掲載されています。
休業支援金の給付、「会社の協力」なくてもOK 厚労省が新基準づくり(2020年10月23日 05時50分)
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」10月15日時点(週報)※速報値を見ると、支給決定額の累計は約250億円(25,018,000千円)です。
休業支援金。支給決定額の累計は約250億円。
東京新聞の記事によると5,442億円の予算に対して支給率は4.6%にすぎません。
休業支援金は休業前賃金の8割(日額上限 11,000 円)が労働者に直接支給されます。
休業手当をうけとれていない労働者にとって休業支援金は切実な給付です。
その休業支援金が予算に対して支給が5%にも満たないのが現状です。
受給できていない人が多すぎです。申請方法は大いに改善が必要でしょう。
1人10万円の特別定額給付金の給付は予算計上12.73兆円に対して、99.4%(12.66兆円)給付されています。
特別定額給付金の給付済み金額の推移(総務省)
休業支援金の対象となる労働者にとっては、1人10万円の特別定額給付金と同様のニーズがあるはずですから。
労働者本人が申請する場合でも、原則として会社が事業主記入欄に記入する必要があります。
休業支援金の申請に会社の協力が得られないことが問題になっていました。
労働基準法で定められている平均賃金60%以上の休業手当を労働者に支払っていない。
労働保険の加入手続きをせず労働保険料を払っていないことを認めてしまうことになる。
休業支援金支給要件確認書の事業主記入欄に会社が記入することで不利益をうけることを心配する会社。
労働者が休業支援金支給を申請することに協力しない会社があることが問題になっていました。
新型コロナ休業支援金支給要件確認書には事業主の記入欄があります。
雇用保険適用事業所番号および労働保険番号を記入することになっています。
会社の法義務である労働保険(労災保険・雇用保険)加入手続きをしていない場合は、番号を記入できませんので法義務違反がわかってしまいます。
支給要件確認書を提出して会社が労働保険の加入手続きをしていないことがわかると、加入手続きをするように勧められます。
それでも手続きをしない会社には加入手続きが強制的に進む。
労働保険料を払いたくない会社はコロナ休業支援金の支給手続きに協力したくないのです。
もちろん、労災保険・雇用保険への加入は会社の法義務ですから、加入手続きをしないことは許されないものです。
「申請を行う労働者を事業主が命じて労働者記入欄の期間に休業させましたか。」
「労働者記入欄の期間の休業に対し、一部でも休業手当を支払っていませんか。または支払う予定はありませんか。」
支給要件確認書に2者択一で記入します。
労働基準法でさだめられている休業手当を支給していないことを認めることにならないか心配して、事業主記入欄への記入を嫌う会社があり問題になっています。
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金Q&A」(厚生労働省)では
労働者から休業支援金の支給要件確認書の記載を求められています。事業主の記載欄に休業手当を支払っているかどうかを確認する欄がありますが、「休業手当を支払っていない」と回答した場合、ただちに労働基準法違反となるのでしょうか。
に対して、ただちに労働基準法違反となると厚生労働省は回答していません。
しかし、行政の監督機関に労働基準法違反をしていると認めることになることを心配する会社があるのです。
2-3 労働者から休業支援金の支給要件確認書の記載を求められています。事業主の記載欄に休業手当を支払っているかどうかを確認する欄がありますが、「休業手当を支払っていない」と回答した場合、ただちに労働基準法違反となるのでしょうか。
→ 休業支援金は、中小事業主に雇用される労働者であって、当該事業主の指示により休業しており、休業手当を受け取ることができない方を対象とした制度です。
この制度の対象となるかを確認するために、支給要件確認書において事業主に休業手当の支払いの有無を記載していただく欄を設けています。
労働基準法第 26 条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされて いますが、使用者の責に帰すべき事由による休業に当たるか否かは、個別の事案ごとに、休 業の原因や、使用者の休業回避努力の状況などを総合的に勘案し判断されます。
※ 支給要件確認書における、使用者の「休業手当を払っていない」旨の記述や、労働者の「休業手当の支払を受けていない」旨の記述は、労働基準法第 26 条の休業手当の支払義務の有無の判断に影響することはありません。
※ 労働基準法第 26 条の休業手当の支払義務が認められる事案においては、雇用する労働者が休業支援金を受給した場合でも、それによって同条の休業手当の支払義務は免除され ないことにもご留意ください。
労働基準法上の休業手当については上述のとおりですが、労働基準法の休業手当の支払義務の有無にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われる雇用調整助成金があり、助成率や上限額の引上げ等を実施しているところです。
これを活用することにより、事業主の皆様は、高率で休業手当を支払うことも可能であり、また、労働基準法の休業手当支払義務がある場合でも義務を履行できますので、まずは雇用 調整助成金を最大限ご活用いただき、労働者に休業手当の支払をお願いいたします。
12-2 事業主が労災保険の成立(加入)手続をしていません。支援金・給付金の申請ができないのでしょうか。
→ 支援金・給付金の申請を行うことは可能です。
農林水産の一部の事業を除き、労働者(パートタイマー、アルバイトを含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続を行う必要があります。
支援金・給付金の申請を受理した場合、労働局における審査過程において、12-1 のとおり、労災保険の手続きをとっていない事業主に対して確認を求めます。
その上で、手続きの勧奨・指導等を行い、成立手続が完了した場合は支給対象となります。
この場合、申請から支給までに時間を要しますので予めご承知おきください。
なお、成立(加入)手続を取らない事業主に対しては、国の職権により成立手続を行います。
現時点でも、会社が協力しない場合も労働者個人がコロナ休業支援金給付の申請ができる
事業主が支給要件確認書への記載に協力してくれない場合、個人からのみの申請は可能でしょうか。
→ 仮に労働者が事業主に申し出たにもかかわらず、事業主が支給要件確認書への記載を拒むようなケースが生じた場合は、支給要件確認書の「事業主記入欄」の「事業主名」の部分に、事業主の協力が得られない旨を、事業主の主張その他関連する事情とともに記載の上、申請してください。その場合、労働局から事業主に対して報告を求めます。
この場合は、事業主から回答があるまでは審査ができないこととなり、その分申請から支給までに時間を要しますので予めご承知おきください。
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金Q&A」 厚生労働省
こちらの記事で紹介しています。
【新型コロナ休業支援金】支給要件確認書への記載を会社が拒否。労働者は申請できるか?
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の制度概要
9月30日までの休業が対象期間でしたが、12月31日までの休業が対象として期間が延長されています。
これまでは郵送で申請することになっていました。
2020/10/09からは、オンラインでも申請できるようになっています。
【新型コロナ休業支援金】忘れずに申請しよう。2020/10/09〜オンライン申請開始
Q.支援金・給付金とはどのような制度なのか?
A. 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により中小事業主に雇用される労働者が事業主の指示により休業し休業中に休業手当を受けることができない場合に休業前賃金の8割(日額上限 11,000 円)を支給するもの。
Q.支援金・給付金はだれに支給されるものなのか?
A. 労働者個人宛てに直接支給されるものです。
(会社宛てに支給するものではありません。会社経由で支給するのでもありません。)
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の内容についてはこちらの記事で紹介しています。
【コロナ休業支援金】新設!労働者に直接支給。給料8割最大1月33万円
【編集後記】
コロナ休業支援金「会社の協力」なくても給付へ新基準づくりをしているという情報は、厚生労働省からの発表ではありません。
東京新聞の記事によれば早ければ月内(2020年10月)に具体策が公表されるとありますので、注目していましょう。
昨日の1日1新 吟醸 極上吉乃川
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日