新聞や本を読んでいて、
ある事件の裁判の判決文についてコメントや判例(裁判の先例)として紹介がよくあります。
実際の判決文にはいったい何と書いてあるのだろう。気になることがあります。
判決文とその解釈や批評も合わせて記載された雑誌・書籍、有料のデータベースなど、
調べるための材料はいろいろとあります。
今回は自宅のパソコンなどから簡単に検索できる『裁判例情報』を紹介します。
Contents
『裁判例情報』は裁判所のホームページから裁判結果検索できるシステムです
裁判所 Courts IN JAPANから裁判例情報をクリックします。
この検索条件指定画面から、条件を指定して検索します。
裁判年月日から検索する方法
本を読んでいて、判例として事件が紹介されていることがあります。
判決文自体は詳細に書かれていない場合、
どんな判決文が判例となっているのか、実際の判決文を読んでみたいと思うことがあります。
裁判年月日が記載されている場合は、裁判年月日から検索してみましょう。
『労働相談実践マニュアル』Ver7 (日本労働弁護団)P227-228 第6 解雇全般の「2 労働契約法16条(解雇権濫用)による制限」を読んでいたとします。
(1)労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定し、それまでの判例(日本食塩製造事件・最判昭50.4.25労判227号32頁。高知放送事件・最判52.1.31労判268号17頁。その他多数)で認められてきた解雇権濫用法理を成文化した。この規定は、あらゆる解雇に適用され、客観的に合理的理由を欠き、あるいは社会的相当性を欠く解雇は、労働契約法16条違反として無効になる。
(2)なお、裁判所は、通常、使用者に対して、解雇権行使に関する「客観的に合理的な理由」を主張するよう促し、使用者がその主張と立証に成功しなければ解雇無効とする運用が実務上定着している。
「それまでの判例」がどのような判決文だったのか知りたいと思いますので、
一番最初に例示されている「日本食塩製造事件・最判昭50.4.25」を裁判年月日から検索してみましょう。
(ちなみに、日本食塩製造事件では事件名での検索ではヒットしませんでした。)
裁判所 Courts IN JAPANから裁判例情報をクリックします。
「最判昭50.4.25」最高裁の判決。裁判年月日が昭和50年4月25日。
[最高裁判所の判例集]をクリックします。
裁判年月日が表示された列で、
- [期日指定]を選択します
- 上下の矢印をクリックして「昭和」を選択します。
- 選択して表示された平成の右横の小さな四角い枠に半角で「50」年「4」月「25」日と「」内を入力します。
- 7と入力した右横の四角い枠の矢印をクリックして、「(行ツ)」を探して選択します。
- [判決]を選択します。
- [検索]をクリックします。
検索結果一覧表示画面が表示されました。
事件番号などで絞られていませんので、6つの候補が表示されています。
解雇無効を争った事件ですので、
- 一番下の「雇傭関係存在確認請求 」の[全文]をクリックします。
判決文がPDFで表示されました。
事件番号から検索する方法
例えば、自己所有のトラックを持ち込み会社の指示に従って製品等の輸送に従事していた運転手(傭車運転手)が、災害を被ったことにつき労働者災害補償保険法上の労働者であるとして労災保険給付を請求した事例についてです。
ネットで検索していて、
事件番号が「平成7年 (行ツ) 65」
であることがわかった場合について、『裁判例情報』から判決文を検索してみます。
事件番号「平成7年 (行ツ) 65」
事件番号を表示された列で、
- 上下の矢印をクリックして「平成」を選択します。
- 選択して表示された平成の右横の小さな四角い枠に半角で「7」と入力します。
- 7と入力した右横の四角い枠の矢印をクリックして、「(行ツ)」を探して選択します。
- [検索]をクリックします。
検索結果一覧表示画面が表示されました。
- [全文]をクリックします。
判決文がPDFで表示されました。
判決文全文から検索する方法
裁判年月日も事件番号もわからない場合は、どうしたらいいでしょうか。
例えば、
労働災害についての本を読んでいて、石綿(アスベスト)についての文章を読みました。
裁判で争われて判決が出ているということだけが書いてあったとします。
「労働災害」で「石綿」に関する判決文が出ているだろうということが想像できます。
全文が表示された列で、
-
- 四角い枠内に「労働災害」と入力します。
「and」の下の
- 四角い枠内に「石綿」と入力します。
- [検索]をクリックします。
検索結果一覧表示画面が表示されました。
- 気になる事件の[全文]をクリックします。
【編集後記】
判例・判決文は日常的に使われる言葉ですね。
しかし、実際に判決文を読む機会は意外に少ないのではないでしょうか。
判決文そのものは長く読みづらいものもあります。
『裁判例情報』に、すべての裁判の判決文が掲載されているわけでもありませんが
パソコンさえあれば、検索して無料で判決文を読めるのは便利です。
一度、試してみてはいかがでしょうか。
特定の分野の法を学ぶという方は
判例百選など本や雑誌で判例要旨(と解説文)を読むのがよいと思います。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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