【労災保険の不支給決定】情報開示請求で資料入手しよう

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仕事でケガをして労働基準監督署に労災申請したけれど、労災保険不支給決定の通知が届いた。
審査請求して不服を申立てたいが、どうして不支給になったのか理由がよくわからない。

Q. なぜ不支給決定になったのか?詳しく知りたい。
A. 行政機関個人情報保護法で開示請求しましょう。

労働基準監督署長から労災保険給付の不支給決定が出た。納得できなければ審査請求できる。

通勤中にケガをした。仕事でケガをした。
過重労働などが原因で病気になった。

通勤災害・業務災害に遭った労働者は、労災保険から保険給付を受けられます。

治療費全額と療養のために仕事を休んだ日は給料の代わりに平均賃金の8割を労災保険から給付が出ます。

労働基準監督署に申請して労災と認められれば良いのですが、労災と認められず不支給の決定が出ることもあります。

不支給と決定されて納得できないときは、不服申立てができます。

労災保険給付の決定についての不服申立ては、審査請求をします。

審査の結果に不服があれば再審査請求ができます。

労災保険給付の決定についての審査請求・再審査請求についてはこちらの記事で紹介しています。【労災保険】不支給の決定。納得できないときは不服申立てる

なぜ不支給の決定がされたのか詳しく知るために、労働基準監督署が調査過程で作成した資料を手に入れましょう。

労働基準監督署が調査過程で作成した資料は個人情報開示請求で入手できます。

入手した資料をもとに準備をして、不支給決定を取消すように審査請求しましょう。

労働基準監督署が所属する都道府県労働局に情報開示請求する

行政機関が保有する情報は開示請求できる

役所(行政機関)が保有する情報は開示請求で手に入れることができます。

情報開示は2種類の方法で請求できます。

・情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)
・行政機関個人情報保護法 (行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律)

行政機関の保有する情報の公開に関する法律3条(開示請求権)

何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長(前条第1項第4号及び第5号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律12条(開示請求権)

何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。

労災保険給付についての決定をするために調査過程で作成した情報の開示は、労働基準監督署が所属する都道府県労働局に請求します。

たとえば新宿労働基準監督署に労災申請して署長から不支給の決定が出た場合は、東京労働局に情報開示請求をします。

情報公開法にもとづく開示請求では、個人に関する情報は開示されません。
開示されるのは、労災保険給付についての決定にかかわる規定などの内部文書です。

労働基準監督署が作成した調査復命書とその添付資料などは、行政機関個人情報保護法で開示請求します。

【情報公開法】開示請求

情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)にもとづく開示請求

行政文書開示請求書

開示請求書等様式 厚生労働省

【行政機関個人情報保護法】開示請求

行政機関個人情報保護法 (行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律) にもとづく開示請求

保有個人情報開示請求書

開示請求書等様式 厚生労働省

労災保険給付の不支給決定の通知があったら、情報開示をすぐに請求しよう

開示請求した情報は原則30日以内に開示・不開示が決定

原則として請求から30日以内に情報を開示するか不開示とするか決定するのが行政機関の義務です。

情報公開法・行政機関個人情報保護法。どちらの法律で情報開示を請求してもすぐに入手できるとは限りません。

労災保険給付の不支給決定の通知が届いたら、すぐに情報開示請求をしましょう。

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律

(開示決定等の期限)
19条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から30日以内にしなければならない。ただし、第13条第3項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。

2項 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる。この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

(開示決定等の期限の特例)
20条 開示請求に係る保有個人情報が著しく大量であるため、開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの保有個人情報については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、行政機関の長は、同条第1項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
1号 この条の規定を適用する旨及びその理由
2号 残りの保有個人情報について開示決定等をする期限

行政機関の保有する情報の公開に関する法律
(開示決定等の期限)

10条(1項) 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から30日以内にしなければならない。ただし、第4条第2項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2項 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる。この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

(開示決定等の期限の特例)
11条 開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、行政機関の長は、同条第一項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
1号 本条を適用する旨及びその理由
2号 残りの行政文書について開示決定等をする期限

労災保険の審査請求は決定を知った次の日から3ヶ月以内

労災保険審査請求

労災申請して不支給決定の通知が届いた。

不支給の決定に納得できない場合は、審査請求できます。

しかし、決定があったことを知った翌日から3ヶ月をすぎると審査請求できません。

(1)労災保険給付の要件を知る
(2)不支給決定の理由を知る(どの要件を満たしていないと判断されたのか?それはなぜか?)
(3)支給要件を満たしていることがわかる資料を準備する

不支給決定通知を受け取ったらすぐに3つの準備をします。

そのためには情報開示請求をして不支給決定の理由がわかる文書を手に入れましょう。

原則30日以内で情報開示されるもので、請求してすぐに手に入るとは限りません。

早めに情報開示請求し、しっかりと準備して審査請求しましょう。

花とチョウチョ

【編集後記】

情報開示請求をしてもすべてが開示されるわけではありません。
黒塗りされた書類を見て驚くかもしれません。

昨日の1日1新 バスロマン クリアクール

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格