懲戒解雇された後に労災請求できるか?

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「懲戒解雇後 労災 請求」で検索して記事を読みにきた方がいらっしゃいます。

懲戒解雇されたあとに労災の請求はできるのでしょうか。

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懲戒解雇後でも労災の請求をできる

「懲戒解雇をされてしまったら、そのあとで労災申請(労災保険からの給付請求)はもうできない?」

そんなことはありません。

懲戒解雇と労災保険から給付を受ける権利は関係ありません。

在職中に労災認定されて、労災保険給付を受けていた。

懲戒解雇されてしまったあとも、労災保険からの給付を受け続けることができます。

在職中に労災申請していなかった。

懲戒解雇されてしまったあとでも、労災申請(労災保険給付の請求)をして給付を受けることができます。

労災保険の給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されない労災保険法12条の5(1項)

退職したあとであっても、労災保険の給付を受ける権利は変わらずにあります。

解雇されたあとでも労災申請(労災保険給付の請求)できます。

労災保険法12条の5(1項)

保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

この「退職」とは、退職届・退職願を出した場合や定年退職などの退職だけに限りません。

労災保険法12条の5(1項)の「退職」には、「解雇」(による労働契約の終了)も含まれます。

使用者による解雇、労働者の自由意思による任意退職、労働契約の期間満了による自動退職、定年退職等理由の如何を問わず労働関係の終了することをいう。事業の廃止に伴う労働関係の終了も例外ではない。

『労働者災害補償保険法』7訂新版(労働法コンメンタール5)厚生労働省労働基準局・労災補償部労災管理課編P308

解雇されたあとからでも、労災申請(労災保険給付の請求)を行なうことができるのです。

業務や通勤での病気やケガには労災保険からの給付を受けられる

業務や通勤での病気やケガには労災保険からの給付を受けられます。

労災保険給付

在職中には労災申請(労災保険給付の請求)をしていなかった方でも、退職後に労災申請をできます。

「退職した会社・解雇した会社が労災申請に協力してくれない。」

会社が協力しない場合には、労働者だけで労災申請できます。

通常の退職ではなく、懲戒解雇された場合であっても労災申請を忘れずにしましょう。

在職中・退職後を問われずに受けられる労災保険給付

在職中でも、解雇を含め退職後でも受けられる労災保険からの給付。

  • 医療費が無料になる療養(補償)給付
  • 病気やケガで療養するために働けないない間に給料の代わりに受けとる休業(補償)給付

療養(補償)給付や休業(補償)給付の他にも、受けられる給付があります。

労災保険給付の種類 内容
療養(補償)給付 業務または通勤が原因となった傷病の療養を受けるときの給付
休業(補償)給付 業務または通勤が原因となった傷病の療養のため、労働することができず、賃金を受けられないときの給付
傷病(補償)年金 業務または通勤が原因となった傷病の療養開始後、1年6か月たっても傷病が治ゆ(症状固定)しないで障害の程度が傷病等級に該当するときの給付
障害(補償)給付 業務または通勤が原因となった傷病が治ゆ(症状固定)して障害等級に該当する身体障害が残ったときの給付
遺族(補償)給付 労働者が死亡したときの給付
葬祭料・葬祭給付 労働者が死亡し、葬祭を行ったときの給付
介護(補償)給付 障害(補償)年金または傷病(補償)年金の一定の障害により、現に介護を受けているときの給付

いろいろと給付を受けられるらしいことはわかった。

だけどそもそも「労災保険ってなんだろう?よくわからない」という方。

[日本で働く外国人向け]労災保険請求のためのガイドブック<第一編>請求(申請)のできる保険給付など』を読んでみましょう。

日本で働く外国人向け 日本語版 労災保険請求のための ガイドブック <第一編>請求 申請 のできる保険給付など

[日本で働く外国人向け]とありますが、もちろん国籍は関係なく読んでわかりやすく書かれています。
厚生労働省が発行しているパンフレットです。

【編集後記】

解雇されたあとで労災申請して労災認定された。
あるいは労災申請ではなく裁判所に業務によって生じた損害の賠償請求をした。
労災による解雇制限期間中の解雇は無効となります。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格