社長から解雇するとあなたが言われた。受け入れるにしても無効を訴えるにしても、解雇通告書を受け取りましょう。
そして解雇通告書に書かれた内容をよく見ましょう。
解雇不当を訴える場合には解雇通告書をよく見て不当性を訴える材料を揃えるための準備をしましょう。
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あなたが会社で横領など悪いことをして、自主退職扱いすると言われたら
そういう事情でしたら、横領したお金を返して自主退職するなら、自己都合退職扱いで退職金を全額出してあげるからなど納得できる話なのであれば、それも1つの手です。
ただし、あなたに何らかの落ち度があって自主退職を求められた場合は、自主退職といっても内容としては懲戒解雇と同じように制裁として働きますので、会社の求めに応じて自主退職するか拒否するかはどちらが良いか検討して判断しましょう。
自主退職として扱って退職金を支給することなど確認する内容を記載した和解契約書を締結し、和解契約書に記載した以外には会社とあなたの間に他には何ら債権債務は存在しないという和解契約書を締結することも検討しましょう。
あなたのために懲戒解雇ではなく退職金も出る自主退職扱いしてあげるからと言われて退職後に損害賠償を請求してくるということがありますから気をつけましょう。和解契約書を締結する場合でも不利な内容ではないか締結する前に気をつけましょう。
会社都合解雇なら、失業手当もすぐにもらえて金額でも有利
会社をやめるのなら、自主退職・自己都合退職よりも解雇の方が有利な面があります。
失業したときに雇用保険「基本手当」(失業手当)を受け取れる日数が自己都合退職の方よりも多くなります。
「解雇」等により離職した方は、雇用保険の特定受給資格者となります。
そして、自己都合退職した場合は、7日間の待機期間の他に3ヶ月を経過しないと「基本手当」(失業手当)を受け取れません。
しかし、「解雇」等により離職した特定受給資格者の方の場合は、7日間の待機期間だけで「基本手当」(失業手当)を受け取り始めることができます。
解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された場合を除き、事業主から解雇され離職した場合が該当します。
特定受給資格者の「基本手当」(失業手当)の所定給付日数
特定受給資格者や就職困難者を除いた離職者の「基本手当」(失業手当)の所定給付日数
解雇通告を書面で受け取ろう
あなたが悪いことをして懲戒解雇になったのではない。
あるいは悪いことをしていないのに悪いことをしたから“解雇だ!”と言われた。
こんな会社ならもう働き続けられない。不当な解雇で認めることができない。
どちらであっても、解雇だと言われたら解雇通告書を書面でもらいましょう。
“解雇なんて言っていない、自己都合で辞めたんだ。”
あとで会社からウソをつかれないように証拠をとっておきましょう。
“そんな書類は出さない”は通じません。
労働基準法(退職時等の証明)
22条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2項 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
3項 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
4項 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。
退職前でも解雇予告を受けた場合は労働基準法22条に基づいて退職時等の証明(書)を求めることができます。
この証明書には就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実確認を具体的に記載しなければならないものですから、解雇をする具体的事実と解雇の理由を明らかにして記載するように求めましょう。
労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合は30日前の解雇予告または30日分以上の解雇予告手当をしなくても良いことになっていますが、この場合であっても労働基準監督署の認定を受けなければ解雇予告・解雇予告手当の支給はしなければなりません。
労働基準監督署の認定は簡単にはされません。
つまり懲戒解雇の有効性とは別に解雇予告・解雇予告手当の支給は免れない場合が少なくないということです。
解雇だというなら30日前に予告して30日働いて給料を受け取るか、その日で解雇だというなら30日分の解雇予告手当を受け取りましょう。
そのためにも、解雇通告書はきちんと受け取りましょう。
労働基準法(解雇の予告)
20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2項 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3項 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
19条2項
前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
証拠があった方が、労働局や労働委員会での個別労働紛争解決のためのあっせんを受ける場合により有利ですからね。
【編集後記】
解雇だと言われた。解雇無効を主張して会社で働き続ける場合も解雇だと言われて働き続けないという場合も、どちらであっても解雇通告書を会社からきちんと受け取りましょう。
働き続けない場合は、特定受給資格者として雇用保険から有利に失業手当を受け取りましょう。
解雇無効で争う場合にも解雇通告書の内容をよく見て反論の材料をそろえて不当性を訴えていきましょう。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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