【雇用保険】失業手当受給に必要な被保険者期間と計算方法

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今年1月1日に就職した会社を7月1日で退職する。
失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとることはできるのでしょうか?
会社をやめたあとで失業手当をうけとるために、必要な被保険者期間と被保険者期間の計算方法を知っておくと安心です。

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今年1月1日に就職した会社を7月1日に退職したら失業手当はうけとれるのかなぁ?

雇用保険の被保険者期間の通算する計算方法

失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとるためには、一定の期間内に雇用保険の被保険者期間があることが必要です。

雇用保険の被保険者期間は1ヶ月単位で計算します。

この被保険者期間の計算の仕方をみてみましょう。

離職日(会社を退職した日)から、過去にさかのぼって1ヶ月ごとに区切ります。

この区切った1ヶ月ごとの期間に、賃金の支払いの基礎(対象)となった日が11日以上ある期間を、被保険者期間1ヶ月として計算します。

離職日が2020年8月1日以降であれば、区切った1ヶ月ごとの期間に賃金の支払いの基礎となった日が11日以上なくても賃金支払の基礎(対象)となった時間が80時間以上ある場合は1ヶ月として計算します。

雇用保険法14条1項(被保険者期間)

被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が11日以上であるものに限る。)を1箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。

ただし、当該被保険者となつた日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が15日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となつた日数が11日以上であるときは、当該期間を2分の1箇月の被保険者期間として計算する。

雇用保険法14条項(被保険者期間)

前項の規定により計算された被保険者期間が12箇月(前条第2項の規定により読み替えて適用する場合にあつては、6箇月)に満たない場合における第1項の規定の適用については、同項中「であるもの」とあるのは「であるもの又は賃金の支払の基礎となつた時間数が80時間以上であるもの」と、「であるとき」とあるのは「であるとき又は賃金の支払の基礎となつた時間数が80時間以上であるとき」とする。

就職日が2022年1月1日、離職日が2022年7月1日。

この会社に就職する前に雇用保険に加入する働き方をしていなかった場合の被保険者期間は下の図のような働き方でした。

雇用保険の被保険者期間
この方の場合は、賃金支払の基礎(対象)となった日が11日以上の期間が6ヶ月ありますので、被保険者期間は6ヶ月になります。

それでは雇用保険の被保険者期間が6ヶ月で退職したら、失業手当(雇用保険の基本手当)はうけとれるのでしょうか?

失業手当は雇用保険の被保険者期間が離職日以前2年間に通算して12ヶ月必要(原則)

原則として、雇用保険の被保険者期間が離職日以前2年間に通算して12ヶ月なければ、失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとれません

定年退職や自己都合退職、重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)による離職が、この原則にあてはまります。

さきほど見た就職日が2022年1月1日で離職日が2022年7月1日の方は、離職日以前2年間に被保険者期間が通算して6ヶ月しかありませんので失業手当(基本手当)をうけとることができません。

雇用保険の被保険者期間を12ヶ月以上にすることで失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとることができるようになります。
この方の場合は、少なくとも年内いっぱいは退職せずに働き続ける必要があります。

しかし、就職日が2022年1月1日、離職日が2022年7月1日、被保険者期間が通算して6ヶ月しかなくても、失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとることができる例外があります

離職日以前1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間があれば良い例外(特定受給資格者・特定理由離職者)

重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)ではない解雇や倒産などによる離職した特定受給資格者の方は、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとることができます

本人が希望していたにもかかわらず期間の定めがある労働契約が更新されずに離職した特定理由離職者の方も、同様です。

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準 2022年4月 厚生労働省

離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月で離職した場合には、離職した理由によって、失業手当(雇用保険の基本手当)がうけとれるかどうかが決まります。

自己都合退職して失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとるには離職日以前2年間で12ヶ月以上の被保険者期間が必要ですので、気をつけましょう。

【編集後記】

今日は朝から雨が降り、肌寒い1日でした。
東京はいよいよ梅雨入りしたようです。
しばらくはポタリング(自転車散歩)はできなくなるのが残念です。
真夏の暑さ対策を準備しながら梅雨明けを楽しみに待つことにします。
先週、多摩湖までポタリングしておいて良かった〜!

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格