高年齢労働者が増えて、安全対策がこれまで以上に重要になっています。
Contents
60才以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍。高年齢労働者が増えている
60才以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍、高年齢労働者が増加しています。
- 年をとってからも、いつまでも働いていたいと思っている方。
- 年金をうけとれる年齢が昔にくらべて遅くなってしまったので生活するためには働くしかないと思っている方。
「働く」といっても意味合いがまったくちがますが、結果として高年齢労働者が増えてきています。
- 約2割が「働けるうちはいつまでも」
- 約4割が65歳を超えて就業する
これだけの高齢者の人が、収入を伴う「働く」ことを希望しています。
シニア世代の“仕事力”を引き出す―改正高年齢者雇用安定法が4月から施行―(厚生労働省)
60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍に増加。特に商業や保健衛生業 をはじめとする第三次産業で増加しています。
高年齢者で働くことを希望する人・高年齢で働いている人が増えている。
この事実を前提に職場の安全対策をする必要があります。
高年齢労働者は労災に遭いやすく、労災が重症化しやすい
労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者が占める割合は、近年増加傾向にあります。高齢者の就労が一層進むと予測される中、高齢者が安心して安全に働ける職場環境の実現が求められています。
近年、労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60 歳以上の労働者の占める割合 が増加傾向にあり、また、労働者千人当たりの労働災害件数(千人率)をみると、男女と もに最小となる 25~29 歳と比べ、65~69 歳では男性で 2.0 倍、女性で 4.9 倍と相対的に 高くなっている。
「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の策定について (厚生労働省)
高年齢者が安全に働きやすい職場は、他の世代も安全な職場
「若いので体力がある・筋力がある・体の柔軟性がある。」
しかし同じ年齢であっても、体力・筋力・柔軟性など人により異なります。
また、同じ人でも寝不足・心配事・疲れなど心身の調子によっても大きく異なります。
高年齢労働者は、身体機能の低下等による労働災害の発生リスクが高まります。
そのため、負担の大きい作業・危険な場所・作業フローの不備等の職場の課題を洗い出し、改善する必要があります。
身体機能が低下した高年齢労働者であっても安全に働き続けることができるように、事業場の施設・設備・装置などの改善を検討し、必要な対策を実施してハード面での具体的な改善が不可欠になります。
身体機能の低下を補う設備・装置の導入といったハード面の対策をとることは高年齢労働者のためだけはありません。
若い年齢の労働者も含めて安全で働きやすい職場へと改善することができます。
高年齢労働者が安全で健康に働ける職場づくりを通じて、これまで若くて体力のある男性労働者を標準に考えられた職場を相対的に体力の弱い女性を含めて働きやすい職場へと変えていくことが重要です。
安全衛生委員会の労働者代表として、また労働組合がある職場では団体交渉を通じて「ケガをしないように気をつけて作業しましょう」ではない、ハード面の対策を土台にすえた具体的な改善を会社にもとめていきましょう。
そして、万が一、労働災害が発生したときには労災申請(労災保険の給付請求)を忘れずに必ずします。
「労災かくし」を行なうようでは、安全で健康に働ける職場は実現できません。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日