失業手当(雇用保険の基本手当)を受けるには、離職日前の2年間に通算で12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。
特定受給資格者・特定理由離職者は離職日前の1年間に通算で6ヶ月以上の被保険者期間が必要です。
月内に賃金支払いの基礎日数が11日以上ある月を1ヶ月として計算していますが、2020/08/01以降に離職する人は10日未満の月でも賃金支払い基礎となる労働時間が80時間以上の月も1ヶ月として計算されます。
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【雇用保険被保険者となる要件】週の所定労働時間が20時間以上、かつ、雇用見込み期間が31日以上
雇用保険被保険者となる要件(1・2ともに満たす) 日雇労働被保険者、短期雇用特例被保険者となる場合を除く |
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1 | 週の所定労働時間が20時間以上である |
2 | 雇用見込み期間が31日以上ある |
雇用保険法6条(適用除外)
次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
1号 一週間の所定労働時間が20時間未満である者(この法律を適用することとした場合において第43条第1項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
2号 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第42条に規定する日雇労働者であつて第43条第1項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
3号 季節的に雇用される者であつて、第38条第1項各号のいずれかに該当するもの
4号 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒であつて、前3号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者
5号 船員法(昭和22年法律第100号)第1条に規定する船員(船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第92条第1項の規定により船員法第2条第2項に規定する予備船員とみなされる者及び船員の雇用の促進に関する特別措置法(昭和52年法律第96号)第14条第1項の規定により船員法第2条第2項に規定する予備船員とみなされる者を含む。以下「船員」という。)であつて、漁船(政令で定めるものに限る。)に乗り組むため雇用される者(一年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
6号 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
【失業等給付の受給要件「離職をした日以前の被保険者期間」】2年間に通算12か月以上。特定受給資格者・一部の特定理由離職者は1年間に被保険者期間が通算6か月以上)
失業手当を受けるためには、離職をした日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。
特定受給資格者と一部の特定理由離職者については、離職をした日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間があれば失業手当を受けられます。
特定受給資格者についてはこちらの記事で紹介しました。
解雇だけじゃない。失業保険すぐに受け取れる【特定受給資格者】はどんな人?
特定理由離職者についての記事がこちらです。
失業手当の特定理由離職者。新型コロナウイルス影響での自己都合離職も対象
雇用保険法13条(基本手当の受給資格)
基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前2年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間)。第17条第1項において「算定対象期間」という。)に、次条の規定による被保険者期間が通算して12箇月以上であつたときに、この款の定めるところにより、支給する。
2項 特定理由離職者及び第23条第2項各号のいずれかに該当する者(前項の規定により基本手当の支給を受けることができる資格を有することとなる者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「2年間」とあるのは「1年間」と、「2年に」とあるのは「1年に」と、「12箇月」とあるのは「6箇月」とする。
3項 前項の特定理由離職者とは、離職した者のうち、第23条第2項各号のいずれかに該当する者以外の者であつて、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。
雇用保険法23条
2項 前項の特定受給資格者とは、次の各号のいずれかに該当する受給資格者(前条第2項に規定する受給資格者を除く。)をいう。
1号 当該基本手当の受給資格に係る離職が、その者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てその他厚生労働省令で定める事由に該当する事態をいう。第57条第2項第1号において同じ。)又は当該事業主の適用事業の縮小若しくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの
2号 前号に定めるもののほか、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。第57条第2項第2号において同じ。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者
【被保険者期間の計算】賃金支払の基礎日数が11日以上ある月を1カ月と計算。
2020/8/1〜労働時間が80時間以上ある月も1カ月と扱う
そこで、改正雇用保険法により、勤務日数が少ない方も給付が受けられるように、労働時間による基準が補完的に設けられました。
これまでは、離職日から1ヶ月ごとに区切った期間に賃金支払の基礎日数が11日以上ない期間は被保険者期間として計算されませんでした。
雇用保険法14条(1項)(被保険者期間)
被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が11日以上であるものに限る。)を1箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。ただし、当該被保険者となつた日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が15日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となつた日数が11日以上であるときは、当該期間を2分の1箇月の被保険者期間として計算する。
しかし、この計算方法では失業手当を受けるために必要な離職日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間(特定受給資格者・特定理由離職者は離職日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間)という要件を満たせず、失業手当を受けられない方がいます。
2020/8/1以降に離職する方は、月内の賃金支払の基礎日数だけでなく、労働時間による基準(80時間以上)でも被保険者期間として月数が計算されるようになりました。
勤務日数の少ない方でも失業手当が受けやすいように、被保険者期間の計算方法が広げられることになったのです。
【編集後記】
失業手当が受けられるように少しでも改善されるのは良いことですね(^^)。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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