障害年金を請求するときに、提出する書類にカルテ自体は必要ありません。
しかし、必要書類を準備するためにカルテが必要になることがあります。
カルテのコピーをくださいと病院に言っても大丈夫なの?心配する方もいらっしゃいますが大丈夫です。
患者にカルテを開示することは医療機関の義務なのです。安心して請求してください。
Contents
【障害年金請求】初診日の確認・診断書作成のためにカルテのコピーが必要になることがある
カルテが見たい、カルテのコピーがほしい・・・。
しかし、そんなことは医師・病院に言えないのではないか?
そんなふうに心配になってしまうかもしれません。
しかし、大丈夫です。
日本医師会の診療情報の提供に関する指針でも診療情報を提供すると定めていますし、個人情報保護法にもとづく開示請求でカルテのコピーを求めることができるようになっています。
障害の原因となる病気やケガではじめて診療を受けた病院が廃院になってカルテが残っていない。
しかし、転院した先の病院のカルテに初めて診療を受けた病院についての記録が残っているかもしれない。
障害認定日に診療を受け持っていた主治医が別の病院へと勤務先が変わってしまっていて、カルテは残っているが病院から診断書の作成を断られてしまった。
カルテをもとに当時の主治医に診断書を書いてもらいたいのでカルテを開示してもらいたい。
こんな場合には、障害年金を請求するためにカルテの開示を求める必要があります。
日本医師会は「診療情報の提供に関する指針」(第2版)でカルテの開示することを定めている
日本医師会は「診療情報の提供に関する指針」(第2版)2002年10月1日のなかで、患者本人・代理人や遺族などは実費を支払いカルテ(診療録)をはじめ診療情報の提供を請求することを認めています。
診療情報の提供に関する指針[第2版]2002年10月1日 日本医師会
日本医師会のすべての会員はこの指針の趣旨に沿って患者に診療情報を提供すると指針に定めています。
診療記録等の開示による情報提供 |
---|
医師および医療施設の管理者は、患者が自己の診療録、その他の診療記録等の閲覧、謄写を求めた場合には、原則としてこれに応ずるものとする。 |
診療記録等の開示の際、患者が補足的な説明を求めたときは、医師はできる限り速やかにこれに応ずるものとする。 |
診療記録等の開示などを拒みうる場合 | |
---|---|
1 | 対象となる診療情報の提供、診療記録等の開示が、第三者の利益を害する恐れがあるとき |
2 | 診療情報の提供、診療記録等の開示が、患者本人の心身の状況を著しく損なう恐れがあるとき |
3 | 診療情報の提供、診療記録等の開示を不適当とする相当な事由が存するとき |
医師および医療施設の管理者が申立の全部または一部を拒むときは、申立人に対して苦情処理機関があることを教示する |
個人情報保護法でカルテの開示が義務とされている
民間病院の場合は個人情報の保護に関する法律28条
前は国立病院だった独立行政法人の病院の場合は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律12条
いずれも個人情報保護法でカルテの開示が義務づけられています。
ですから、あなたがカルテのコピーがほしいと思ったら、カルテの開示請求をすればいいのです。
個人情報の保護に関する法律28条(開示)
(1項)本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる。
2項 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
1号 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
2号 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
3号 他の法令に違反することとなる場合
個人情報の保護に関する法律施行令9条(個人情報取扱事業者が保有個人データを開示する方法)
法第28条第2項の政令で定める方法は、書面の交付による方法(開示の請求を行った者が同意した方法があるときは、当該方法)とする。
独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律12条(開示請求権)
(1項)何人も、この法律の定めるところにより、独立行政法人等に対し、当該独立行政法人等の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。
2項 未成年者又は成年被後見人の法定代理人は、本人に代わって前項の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)をすることができる。
【編集後記】
あなたがカルテのコピーがほしいと思ったら、カルテの開示請求をすれば実費を払って手に入れることができます。
日本医師会が診療情報の提供に関する指針で定めていますし、個人情報保護法で開示義務が定められています。
カルテの法律上の保存義務は5年間です。
しかし、実際にはもっと長い期間保存されている場合があります。
病院には保管していなくても、外部で保存していることもあります。
その病院に通院しなくなってから5年を超えてしまったという場合でも、諦める前に、確認してみましょう。
医師法第24条
(1項)医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2項 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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