12月も中旬となり、労働者のみなさまはボーナス支給の時期でしょうか?
「コロナの影響で、ボーナスどころか毎月の給料も遅れているよ」という方もいらっしゃるかもしれませんし、
「業績が回復してボーナスが大幅アップで嬉しい!」という方もいるでしょう。
いわゆる「正社員」ではない、パートタイム労働者の方はボーナスは支給されましたか?支給された方はいくらでしたでしょうか?
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日本年金機構12月のボーナスは「2.12月」(成績標準者)
日本年金機構のホームページによると、12月9日(金曜)に2022年12月期の賞与を支給したとのことです。
支給月数は2.12月(成績標準者)。
参考として、一般職国家公務員の期末・勤勉手当の支給月数(成績標準者)は2.21月という記載もありますので、一般職国家公務員より少ないですよということのようです。
令和4年12月期の賞与の支給について 日本年金機構
冬のボーナスの支給月数「2.12月」。
多いと見るか少ないと見るか?自分自身が受けとるボーナスしだいというところでしょうか?
私(労働者のための社労士・小倉健二)は、障害年金請求手続きで年金事務所の窓口でやりとりをすることが多くあります。
年金事務所の窓口で対応している方は「正規職員」に限らず、業務内容によりますが私たち社会保険労務士が働いている場合もあります。
12月9日に冬のボーナスが「2.12月」支給されたのは、「正規職員」だけなのでしょうか?
それとも、期間の定めのある労働契約で働く社会保険労務士も同じ月数で支給されたのでしょうか。
ボーナス支給額計算のもととなる毎月の給料が正規職員と非正規職員(期間の定めのある労働契約で働く労働者)では大きく差があるのですから、せめて支給「月数」は同率であってほしいものですが。
パートタイム労働者にボーナス支給していないが6割(2021年3月東京都産業労働局)
いわゆる「正規職員」「正社員」ではないパートタイム労働者。
東京都の実態調査によると、パートタイム労働者にボーナスを支給していない割合は約6割(59.3%)。
「パートタイマーに関する実態調査」令和4年3月東京都産業労働局
ボーナスの支給月数や、正社員と比べて支給額が多いか少ないかという以前に、そもそもパートタイム労働者はボーナスが支給されていない割合が6割も占めていることになります。
かつては、ボーナスを多くすることで社会保険料を安くするという理由があったでしょうが、今となっては賃金のなかでボーナスの割合を多くすることは会社にとっては賃金の増減の調整弁として役立ちますが、労働者にとっては年収を考える上で不安定要素が大きくなります。ボーナスに一喜一憂せずに、基本給(や時間給)を少しでも高くすることが大切です。
ボーナスなどいっさいなし、基本給(あるいは時給)が高いという方が安定していて賃金として優れているとは思います。
しかしそれは、「正社員」「パートタイマー」「アルバイト」といった雇われ方の違いが問題となることではありません。
「正規雇用」労働者にはボーナスを支給するが、パートタイム労働者には支給しないというのは、どうなのでしょうか?
厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでは、「同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を」と、いずれにしても企業への貢献に応じてボーナスを支給するのであれば、「正社員」だけでなくパートタイム労働者にも支給しなければならないとして不合理な待遇差別を禁止しています。
ボーナス(賞与)であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要(厚生労働省)
ボーナスの待遇格差が不合理な待遇である場合は労働局(厚生労働省)に援助を求めることができる
東京都産業労働局の実態調査を見ると、ボーナスの待遇格差についてパートタイム労働者から不満の声が上がっていることがわかります。
- 仕事内容が同じでも、勤務日数が正社員に比べて1日少ないだけでボーナスはゼロという職場が多い。理不尽だと感じる。〔60 代女性/医療、福祉〕
- 家計を支えるために働く自分にとって、ボーナスというご褒美が出ることで毎日仕事する励みにもなるのに、今は雀の涙程度しか支給されず、モチベーションにつながらない。パートにも正社員と同じくらいの月数のボーナスを支給してほしい〔40 代女性/製造業〕
- 正社員と同質の仕事をこなしているのに、賞与が支給されないことが不満。〔70 代以上男性/製造業〕
- 時間の融通がきくという理由でパートを選ぶママは多いと思う。仕事の内容が正社員と大差がないのであれば、それなりの賞与は欲しい。主婦でパートでも働きやすい環境を実現してほしい。〔30 代 女性/業種不明〕
「パートタイマーに関する実態調査」令和4年3月東京都産業労働局
「正社員」とパートタイム労働者との間にボーナスの支給について差があることそのものは違法であるとはいえませんが、不合理な待遇差別があれば違法です。
パートタイム労働法 ( 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 )8条(不合理な待遇の禁止)
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
パートタイム労働法に反した不合理な待遇を受けた労働者が会社(事業主)との間で紛争が生じた場合には、労働者は労働局長の援助、均衡待遇調停会議による調停を申請することができます。
【編集後記】
今日は2022年12月12日(月)。出歩くと街なかはクリスマスに向けて雰囲気が盛り上がってきました。
鶏のもも肉(ローストチキン)とケーキ。今年も楽しみにしています。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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