10月10日は「転倒予防の日」。労働災害で1番多いのが転倒事故。
転倒防止のための対策を職場で求めて安全な職場を作ることが大切です。
転倒事故が労災で1番多い災害
転倒による労働災害は休業4日以上の死傷災害で1番多い事故です。
休業4日以上の死傷災害の1/4が、転倒による労働災害です。
<2020年>休業4日以上の死傷災害 | 人数 |
---|---|
転倒 | 30,929 |
墜落・転落 | 20,977 |
動作の反動・無理な動作 | 19,121 |
はさまれ・巻き込まれ | 13,602 |
切れ・こすれ | 7,592 |
その他 | 38,935 |
2020年労働災害発生状況(確定) 労働災害発生状況から作成 厚生労働省
「転倒」事故をなくすためには、事故防止策が不可欠
ケガ・事故防止のためにラジオ体操、標語の掲示(ケガに注意して作業しようなどのポスターを貼る)は職場でよくやることです。
「ケガをしないように注意を促していた」というのはよく言われます。
危険な場所を目立たせてだれでも危険がわかるようにすることは大事なことですが、禁止事項や注意のポスターを職場のあちこちにベタベタと貼っていても事故がなくなることはありません。
設備の改善はお金がかかることから、注意喚起ですまされてしまいがちですが、何よりも重要なのは設備を改善して危険をなくす(へらす)ことです。
10月10日の転倒予防の日を機会に、設備の改善を求め職場の危険箇所をなくしましょう。
たとえば電源コードが通路にあるから足が引っかかるので危険な職場があったとします。
「危険です」と表示するのではなく、床にコードを這わせている状態をなくす必要があるのです。
転倒 | 被災者は、クリーニング店の店舗受付カウンターにて作業中、カウンターの下にある電源コードに足をひっかけ、転倒し、手首を骨折した。 |
---|---|
原因 | 店舗受付カウンターの下の作業範囲である区域に、電源コードが配線されていたこと。 |
対策 | 類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 (1)店舗受付カウンター下の電源コードは、足を引っかけたり、絶縁被覆を損傷しないようにコード上をアングルやケーブルカバーで保護し、余ったコードはまとめ、作業範囲から60㎝以上離しておくこと。 (2)転倒災害防止のため、労働者に対し、職場における安全衛生教育や研修を十分に実施すること。 |
職場のあんぜんサイト 労働災害事例 厚生労働省
「転んでケガした」は労災。労災申請を必ずする
「転倒したときに、あのときにもしも○○していれば転ばなかったかもしれない・・・。」
自分で思うかもしれません。
「転ばないように気をつけて仕事をしろと言っただろ。」
「お前がボーッとしてるから転んだんだ。」
「会社の責任じゃなく、お前の不注意で転んでケガしたのだから労災じゃない。」
会社から言われるかもしれません。
しかし、会社が悪いのか?本人が悪くないか?は労働災害には関係ありません。
- 仕事で転んでケガした。
- 仕事がはじまる前の準備や仕事が終わったあとの片付けで転んでケガをした。
- 休憩時間に職場の休憩室で転んでケガした。
- 職場のトイレで転んでケガした。
- 通勤途中で転んでケガした。
どれも労災(労働災害)です。
「転んでケガした」は労災です。必ず労災申請をしましょう。
参考記事
「転んでケガしたのは自分の不注意だから労災保険使えない」は本当か?
【労災保険】「ついうっかりして」ケガも労災。労災申請して給付を受ける
【仕事でケガ】労災保険入ってないと会社に言われた。どうしたらいい?
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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