【2021年の労働災害】新型ウイルス感染症罹患を除く死傷者117,875人

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新型ウイルス感染症罹患を除いて集計した2021年の労働災害発生状況(2022年1月速報値)が厚生労働省から発表されています。

2021年に新型ウイルス感染症罹患を除いて、死亡災害723人、死傷災害117,875人の方が労働災害に遭っています。

2021年労災【死亡災害】は新型コロナウイルス感染のぞくと723人

2021年の労災で、(新型コロナウイルス感染のぞいて)723人の方が亡くなっています。

死亡災害は建設業が1番多く269人、第三次産業が2番めで161人、製造業が122人、この3つだけで552人、死亡災害全体の75%を超えています。

建設業が危険な仕事であることは知っていても、第三次産業が2番めに死亡災害が多い業種であることをイメージできていない方も多いです。

第三次産業の労働者の方も、死亡災害の危険のなかで働いていることを知っていただきたいと思います。

2021年死亡災害 723人 割合
建設業 269 37.2%
第三次産業 161 22.3%
製造業 122 16.9%
その他 171 23.7%

死亡災害の原因は墜落・転落が1番多く、2番めに多いのはさまれ・巻き込まれと交通事故です。

死亡災害

2021年労災【死傷災害】は新型コロナウイルス感染のぞくと117,875人

新型コロナウイルス感染のぞくと、2021年の労災で117,875人の方が死傷災害に遭っています。

死傷災害とは、休業4日以上の労働災害のことをいいます。

新型コロナウイルス感染のぞく2020年の死傷災害に遭った方は110,794人でしたので、2021年の117,875人は前年対比で7,081人(6.4%)増えていることになります。

死傷災害で1番多い業種は第三次産業で57,899人でした。前年対比で4,788人(9%)増えています。

第三次産業だけで死傷災害全体の半数以上(53%)を占めています。

死傷災害

第三次産業の死傷災害57,899人のうち商業が1番多く1,9114人。

商業のなかで小売業が77%(14,717人)、商業の死傷災害の8割近くが小売業で発生しています。

「小売業だから労災は関係ない」どころか、死傷災害の最大業種の商業のなかの4人に1人(25.4%)は小売業での災害です。

小売業の労働災害の約半数が「転倒」と「腰痛等」です。

  • 「転んでケガするのは本人の不注意だから労災じゃない」と会社で言われた。
  • 「腰痛は労災にならない」と聞いたことがある。

どちらも間違えです。

東京労働局の資料によると、小売業での休業4日以上の死傷災害の約半数が転倒・動作の反動・無理な動作(腰痛等)です。

参考記事
小売業の労災の50%は転倒と腰痛等で占めている

業種に関係なく、新型コロナウイルス感染をのぞく休業4日以上の死傷災害で1番多い原因は転倒、全体の4分の1(26%)を占め30,115人でした。

「転ぶ」(転倒)によるケガは、死傷災害でもっとも多く発生しています。

死傷災害の原因

休業補償は1日目から、療養(補償)給付は休業0日でも受けられる

休業4日以上の労働災害は、労災保険給付から休業(補償)給付が支給されます。

療養のために仕事を休み賃金の60%未満しか受けとれない方は、労災保険の休業(補償)給付を受けとります。

休業(補償)給付は、平均賃金(給付基礎日額)の80%(保険給付から60%と特別支給金20%)です。

休業3日以下の労働災害には、労災保険ではなく会社から平均賃金の6割以上の休業補償を受けとります。

参考記事
労災【業務災害】休業開始からの3日間休業補償を会社が支払わないときの対応方法

会社から受けとる休業補償は業務災害の場合に支払われます。通勤災害には支払われません。

会社が支払う休業補償も労災保険が支給する休業(補償)給付、どちらについても土日や祝日など会社が休みの日の分も受けとります。

もともと勤務日だった日だけ受けとるわけではありません。

たとえば、週1日勤務の人が出勤日に仕事でケガをして療養のために7日間休業した場合は、会社からの3日分の休業補償と労災保険からの4日分の休業補償給付を受けとります。

休業補償給付についての参考記事はこちら

休業補償給付

仕事を1日も休まなかった場合でも、療養(補償)給付を受けられます。

通勤や仕事でケガをして、病院で診療を受けるのは無料です。

療養補償給付についての参考記事はこちら

療養補償給付

【編集後記】

・高いところの物を取ろうとしてイスに乗って転んでケガした。
・トラックの荷台から落ちて足を骨折した。

「会社から労災じゃないと言われて申請できない。」という話。

どちらも労災になります。

会社が労災申請に協力してくれない場合は労働者だけで申請できます。

自分で申請する自信がないという方は、ご依頼いただければ代理で申請いたします。

会社に気兼ねして労災申請しないということは避けてください。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格