会社員の方は厚生年金保険に加入していますので被扶養配偶者の方も含めて国民年金の保険料を別途払う必要がありません。
しかし、それ以外の厚生年金保険に加入していない方は国民年金の毎月の保険料は翌月末日までに払うことが法律で決められています。
毎月の国民年金保険料を払わずに滞納してしまっている方は、先ずは支払い期限が過ぎている直近1年分を払いましょう。
なぜ先ずは直近1年分なのか?の説明もします。
Contents
国民年金の未納の保険料は2年前までなら払える
国民年金の保険料は毎月の保険料を翌月の末日までに払わなければいけないことになっています。
たとえば今月(7月分)の保険料は8月31日までに払う必要があります。
国民年金法91条(保険料の納期限)
毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない。
もし仮にあなたが国民年金保険料を翌月末の支払い期限までに納付しなかった場合は、もう払うことができなくなってしまうのでしょうか?
支払い期限を過ぎてしまった分についても、国民年金保険料は過去2年分については後から払うことができます。
国民年金法102条4項(時効)
保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によつて消滅する。
障害年金・遺族年金は【保険料納付要件】満たさないと受け取れない
【原則】保険料の未納期間が1/3以上あったら障害年金・遺族年金受けられない
もしもあなたが国民年金保険料を払っていない保険料未納の期間があるのでしたら、要注意です。
障害年金と遺族年金はそれぞれ、障害年金は障害の原因となる病気やケガではじめて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)の前日において、遺族年金は死亡日の前日において、被保険者期間のなかでどれ位の期間の保険料が払われているのか?保険料の納付状況を確認されます。
保険料納付期間の確認は、国民年金保険料を払った期間だけでなく厚生年金保険加入期間も国民年金保険料納付済期間として計算されます。
厚生年金保険被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者も保険料納付済期間です。
原則として、20歳以上60歳未満の期間は国民年金の被保険者期間となります。
もしもあなたが国民年金保険料を払わずにいる未納の期間がある場合どうなるでしょうか?
その期間が被保険者期間の1/3以上が保険料未納期間だと障害年金を受け取ることができません。
対象となる遺族がいる場合でもあなたが死亡した場合に遺族年金を残せなくなってしまいます。
国民年金法30条1項(障害基礎年金の支給要件)本文ただし書き
ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。
国民年金法37条(遺族基礎年金の支給要件)本文ただし書き
ただし、第1号又は第2号に該当する場合にあつては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。
ただし、65歳未満の方の場合は、保険料の未納期間が1/3以上あっても障害年金・遺族年金を受けられる特例があります。
【特例】直近1年間に保険料の未納がなければ障害年金・遺族年金受けられる
初診日(障害年金)・死亡日(遺族年金)の前日において、支払い期限が過ぎている直近1年間の保険料に未納がなければ、保険料納付要件を満たしていることになるという特例があります。
ただし、この国民年金保険料の特例は初診日(障害年金)・死亡日(遺族年金)に65歳以上に方には適用されませんから注意が必要です。
これまできちんと国民年金保険料を払ってこなかった・・・という方は、支払期限を過ぎてしまった保険料のうち2年分は無理な場合でも、直近1年分は今すぐに払ってしまいましょう。
なぜ、「今すぐ」なのかというと、
保険料をきちんと払っているか?という保険料納付要件の確認は初診日(障害年金)・死亡日(遺族年金)のそれぞれの「前日」の時点で確認するからです。
保険の対象となる事故はいつ起こるかだれにもわかりません。
事故が起きたその日やその日以降に保険料を払っても年金を受け取ることができません。
ですから、万が一なにかあったときに障害年金を受け取る遺族に遺族年金を残すためには、いつか・・・ではなく、今支払い期限が過ぎた直近1年分の国民年金保険料をすぐにでも払いましょう。
そしてこれからは毎月の保険料を期限通りに遅れることなく払っていくことが大切です。
附則(昭和60年5月1日)
20条1項
初診日が平成38年4月1日前にある傷病による障害について国民年金法第30条第1項ただし書(同法第30条の2第2項、同法第30条の3第2項、同法第34条第5項及び同法第36条第3項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合においては、同法第30条第1項ただし書中「3分の2に満たないとき」とあるのは、「3分の2に満たないとき(当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間(当該初診日において被保険者でなかつた者については、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該障害に係る者が当該初診日において65歳以上であるときは、この限りでない。
20条2項
平成38年4月1日前に死亡した者について国民年金法第37条ただし書の規定を適用する場合においては、同条ただし書中「3分の2に満たないとき」とあるのは、「3分の2に満たないとき(当該死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの1年間(当該死亡日において被保険者でなかつた者については、当該死亡日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該死亡に係る者が当該死亡日において65歳以上であるときは、この限りでない。
国民年金保険料を納めることが可能な期間は、保険料の納期限(納付対象月の翌月末)から2年間です。
国民年金保険料は、納期限(納付対象月の翌月末日)から2年以内の分は納めることができます。
保険料の支払い期限(納付対象月の翌月末日)から2年を過ぎると、時効により払えなくなってしまいます。
納付書があれば、金融機関やコンビ二エンスストアで納めることができます。
納付書がない場合は、お近くの年金事務所に連絡してください。
経済的に厳しくて国民年保険料を払えないなら、すぐに【免除申請】する
国民年金保険料の免除申請をすれば保険料滞納にはなりません。過去にさかのぼって免除が適用されます。
しかし、保険料免除申請前に初診日がある場合は障害年金・遺族年金が支給されません。
ですから、経済的な事情で国民年金保険料を払えずにいた方は急いで保険料免除申請をしましょう。
国民年金保険料免除申請書の記載方法はYou Tube(厚生労働省)でも紹介されています。
【編集後記】
新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除の申請対象に加わっています。
対象となる方はすぐに保険料免除申請の手続きをしましょう。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日