一言で言うと「解雇はできません」。
(もちろん例外はあります。しかし)
まず初めに解雇はできないと覚えてください。
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ひとことで言えば「解雇はできない」
民法で解雇は認められており、
労働契約法をはじめ労働基準法、労働組合法などさまざまな法律で解雇が禁止されている場面がありますし、そうではない場面でも制限されています・・・
というのは法律論として間違ってはいません。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
現実としては解雇が認められるのは例外です。
だったら、
日本では解雇が原則として認められない。解雇は例外的な場面でしか認められない。
と理解した方が、わかりやすいですよね。
例外的な場面でしか認められない「解雇」が、新聞やネットニュースで当たり前に報道されているのはなぜだ?不思議に思いますよね。
日本の法が許さない・認められない解雇が日本社会で数多く行われているのです。
【解雇はできない】と知っていれば「解雇」と言われたときに解雇できる例外ケースなのか?と疑問をもてる
- 解雇される労働者がしらない
- 会社・社長がしらない、あるいは労働者がしらないとわかっている
- 会社・社長が解雇してしまえば労働者が泣き寝入りしてしまうと思っている
解雇される労働者が、
- 解雇はできないと知ってさえいれば
- 裁判に訴えれば解雇は認められないことを知っていれば
もちろん、解雇無効を裁判に訴えれば決着までに1年以上かかることも考えられますので、誰でも裁判を簡単に求めることはできないでしょう。
しかし、解雇ができないことを知っていれば、そして最終的には裁判で決着つけると思えれば、どうでしょう。
実際には裁判に訴えでなくても、
- 会社と話し合う
- 労働組合に加入して団体交渉する
- 公的機関である労働局や労働委員会によるあっせんを求める
- 裁判よりも簡易・短期間で決着する労働審判を裁判所に申し立てる
など、解決をめざす方法がいくつもあります。
解雇は原則としてできない。
例外的に解雇が認められるのは、
客観的に合理的な理由があり且つ社会通念上相当であると認められる場合だけだ、
と理解する方がわかりやすいです。
例外的に認められる解雇とはどんな場合なのか?
- 普通解雇
- 懲戒解雇
- 整理解雇
それぞれの場面で確認できれば、その例外に当てはまらないなら、解雇はできない。
これなら、とてもわかりやすいですよね。
- どの場面での解雇通告なのか?
- その場面での例外的に認められる内容での解雇通告なのか?
それを確認するためには、まずは会社から解雇理由証明書を受けとります。
例外的に認められる解雇なのか?解雇通告されたら解雇理由証明書を会社に請求しよう
労働者が請求すれば、会社は解雇理由証明書を発行する義務があります(労働基準法22条)。
解雇通告されたら、解雇理由証明書を会社に請求しましょう。
労働基準法22条(退職時等の証明)
(1項)労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2項 労働者が、第20条第1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
3項 前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
4項 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第1項及び第2項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。
この退職時の証明・解雇理由証明書は事実を記載していなければ労働基準法22条の義務をはたしたことになりません。
会社が解雇通告をしたときの解雇事由と退職時の証明・解雇理由証明書に記載された解雇事由が異なっている場合は労働基準法22条の義務違反です。
失業手当(雇用保険の基本手当)をうけるための「離職票」には離職理由が記載されています。
しかし、離職票に離職理由が書いてあるから、退職時の証明・解雇理由証明書を会社が出さないということも認められません。
離職票とは別物ですから、労働基準法22条にもとづいて退職時の証明・解雇理由証明書を渡すように求めましょう。
参考 1999年3月31日基発169号厚生労働省
解雇理由証明書 様式集 東京労働局
解雇だと言われたら、まずは解雇理由証明書を会社に請求しましょう。
そして、受けとった解雇理由証明書は労働問題の専門家に見せて相談しましょう。
もちろん、解雇理由証明書を会社に求める前、解雇を通告された段階で相談するのはもっといいことです。
まずは、解雇はできないと知りましょう。
そして、例外として認められる解雇なのか?それとも無効な解雇か調べるために、まずは解雇理由証明書を渡すように会社に求めます。
なかには、解雇だと言いながら退職届を出すように求めてくる会社があります。
しかし、退職届を出すのは解雇ではありませんから、退職届は書かないようにしましょう。
退職届を出してしまうと問題が分かりづらくなって、不利になることがあります。
(解雇なのに退職届をだすと、不利になると思いましょう。)
「退職届を出したのだから解雇ではなく辞職だ」といわれると問題が複雑になってしまいます。
解雇なのに退職届を出させられた場合も、労働問題の専門家にすぐに相談しましょうね。
労働問題の専門家としては、行政であれば労働基準監督署などにある総合労働相談センターや都道府県の労働相談窓口があります。(東京都は東京都労働相談情報センター)
民間であれば、日本労働弁護団の弁護士の人、そして特定社会保険労務士のなかにも多くはないですが労働者のために活動している人がいます。
【編集後記】
労働問題は自分ひとりで解決(あるいは泣き寝入り)しようとしないでください。
解雇の問題は、労働問題の専門家に相談しましょう。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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