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本当の「自立」のためにも生活保護を!
生活保護で生きちゃおう! ―崖っぷちのあなた! 死んだらダメです あけび書房
「本当の『自立』のためにも生活保護を!」p54
自分に必要な支援を自分で選択して、自分で使えたことがすごく自信になった
今、私は生活保護が必要なんだ、ということをまず受け入れて、自分の意思で選択して、それを使いながら、自分をきっちり探していく…。
それは生活保護のすごくいい活用の仕方ですよね。
本当の自立をしていますよね。
そうですね。「自立とは必要な支援をきちんと使えることだ」というのは障害者の方たちがよくおっしゃるすてきな言葉ですね。
生活保護のことを考えるときに最も大切なことは、慎ましくとも最低限「人間らしく」生きていけるだけの生活が、本当に保障されるのかどうかではないか。
人間らしく生きるというのは、ただ生物として「死なない」ことを意味しているのではない。
ささやかでも、喜びや悲しみ、怒りや寂しさなど、人間らしい感情をたたえる中で、その尊厳がきちんと守られている生活が最低生活だ
と、著者は語ります。 P80
しかし、“自立”とは他から助けを受けないことではないでしょうか?
「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。」と『大辞泉』にあります。
自立とは、他から支配を受けないことと同時に、自分の力だけで行きていくことなのではないでしょうか。
自分以外の助けを受けて存在するということは、自立とは正反対ではないでしょうか。
自立とは依存しないことではなく、依存先を増やすことだ
新生児仮死の後遺症により脳性まひの障害を持つ熊谷晋一郎さんは、自立とは依存しないことではなく、依存先を増やすことだと語ります。
一般的に「自立」の反対語は「依存」だと言われますが、それは勘違いだと言います。
人間は物であったり人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけないと語ります。
職場は5階の研究室で東日本大震災のとき、から逃げ遅れてしまったそうです。
逃げるということを可能にする“依存先”は、熊谷さんにはエレベーターしかなかったのです。
エレベーターが止まっても、他の人は階段やはしごで逃げられるので、5階から逃げるという行為に対してエレベーター以外に2つの依存先があります。熊谷さんにはエレベーターしかありませんでした。
“障害者”というのは、「依存先が限られてしまっている人たち」のこと。
健常者は何にも頼らずに自立していて、障害者はいろいろなものに頼らないと生きていけない人だ、と思われているけれどそれは勘違いだと言います。
健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていないのが、真実だと。
依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できると熊谷さんは言います。
膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが、“自立”といわれる状態なのだろうと思うと言います。
だから、自立を目指すなら、むしろ依存先を増やさないといけない、のだと語ります。
「自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと」
公益財団法人東京都人権啓発センター
TOKYO人権 第56号(平成24年11月27日発行)
熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)さんインタビュー記事
小児科医/東京大学先端科学技術研究センター・特任講師
自立とは必要な支援をきちんと使えることだ
p56
さっきも出ていた話ですが、「甘えることができるのが自立なんだよね」ということでもありますね。「我慢して一層苦しくなるより、生活保護を利用することで、ちゃんと自立しよう」ということだと思います。
自立とは必要な支援をきちんと使えることだ、『生活保護で生きちゃおう! ―崖っぷちのあなた! 死んだらダメです』P55(あけび書房)ということの意味が、
新生児仮死の後遺症により脳性まひの障害を持つ熊谷さんが語る
“自立とは依存しないことではなく、依存先を増やすことだ”
という話から納得できます。
この本は3章で構成されています。
2章では、生活保護に偏見をもって誤解している生活困難にいる当事者の方をマンガで描いています。
生活困難な状況にいる当事者の生活保護への誤解・偏見をネコが解いて、当事者の方が生活保護申請へと向かいます。
生活困難にいる当事者に方がこのマンガを読むと、肩の荷が降りてホッとして気持ちが楽になると思います。
また、現在生活困難な状況にはいない方が読んでも、生活困難にいる当事者や生活保護申請者・受給者をバッシングする気持ちから少し離れた位置から、生活保護についてわかることのできる読みやすい本です。
もちろん、生活保護で受けられる制度の中身や生活保護申請するときの具体的なノウハウもわかりやすく掲載されています。
生活保護についてのはじめての1冊としてもオススメです。
1章 生活保護利用者の座談会 生活保護を利用して、良かった!
2章 生活保護申請の手引き 生活保護で生きちゃおう!
3章 いま、改めて「生きさせろ!」
3章で雨宮処凛さんは、人間が誰かに「助けて」といえるためのふたつの条件を語っています。
貧困問題にかかわるようになって、改めて気づいたことがある。
人間が誰かに「助けて」というためには、ふたつの条件を満たしていなければならないということだ。
ひとつは、「自分は助けられるに値する、生きるに値する人間である」という自己肯定感。もうひとつは、「他人や社会に対して最低限の信頼感を持っていること」。
しかし、「貧困」は、時に容易く人からこのふたつを奪ってしまう。
人間が誰かに「助けて」といえるためのふたつの条件を奪ってはいけないと思います。
もしも、「助けて」といえるふたつの条件が失われているように見える方がいたら、この本を貸してあげてはいかがでしょうか?
それは、“あなたは助けられるに値する、生きるに値する人間ですよ”というあなたからのメッセージで、
“自分は助けられるに値する、生きるに値する人間である”という自己肯定感につながるあなたからのメッセージになるかもしれないからです。
【編集後記】
昨日は連れ合い(お嫁さん)と2人で新宿に映画を観に行きました。
新宿武蔵野館で映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を観ました。
マンガを見てとても良かったので映画を観ましたが、マンガの原作の良さを映画らしい良さで描かれていて良かったです。
そして、映画館を出たら気温は36度!暑かったです。今日も暑かったです。
今日の1日1新:メロンソーダバニラフラッペ ファミリーマート
暑くてクラクラした頭がスッキリとシャンとしました!
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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