「コロナ禍における非正規雇用で働く人の実態と意識に関する調査2021」(2021年5月)の集計結果を連合(日本労働組合総連合会 )が発表していますので見てみましょう。
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【コロナ禍の影響】出勤日数および労働時間削減。「非正規雇用で働く社員・職員だけ」が3割超
非正規雇用の労働者だけが出勤日数・労働時間を削減されたと回答した労働者が全体の3割を超えています。
もともと正規雇用にくらべて非正規雇用の労働者は低い労働条件で働いています。
そのうえ、非正規雇用の労働者だけが出勤日数および労働時間削減されたとの回答が3割超。
アンケート(インターネットリサーチ )の結果からも、コロナ禍による会社の対応が非正規雇用の労働者により厳しいことがわかります。
出勤日数および労働時間削減の対象において正社員・正職員と違いがあったと回答した人(54 名)に、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との違いに対する納得状況を聞いたところ、3割超の非正規雇用の労働者が「納得いかなかった」と回答しています。
勤め先が休業・時間短縮で「休業手当は支給されなかった」労働者が5割超
勤め先が休業や時間短縮をしていた間、休業手当は支給されたか?
勤め先が休業や時間短縮をしていた人(410 名)に聞いたところ
「休業手当は支給されなかった」は 51.7%
「休業手当は 6 割未満」は 9.5%、
「休業手当は 10 割支給された」は 20.5%
「休業手当は 6 割以上支給された」は 18.3%
労働基準法の規定のとおりに休業手当が 6 割以上支給されたケース全体の4割に満たないことがわかります。
労働基準法26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
勤め先が休業・時間短縮で休業手当が支給されなかったら会社に支払いを求める。それでも払わないなら休業支援給付金の請求手続きをする
勤め先が休業・時間短縮で休業手当が支給されなかったら会社に支払いを求めます。
非正規雇用の労働者だから休業手当を支払わなくて良いという理由はありません。
アルバイト、パートタイム労働者、 派遣労働者、有期契約労働者など、労働基準法上の労働者です。
正規雇用以外にも、労働者労働基準法第26条に定める休業手当の支払いが必要です。
新型コロナウイルスに関連した労働者の休業に際しての注意事項について
シフト勤務の労働者に対して、シフトをへらす。
シフトがへらされて出勤日が少なくなって給料が少なくなってしまった。
このような出勤日の減少に対して休業手当の支払いを求めると、シフトの削減は休業ではないから休業手当を払わないという会社もあります。
休業手当の支払いを会社に求めてみたものの、それでも会社が払わない。
それなら休業支援給付金の申請手続きをしましょう。
シフトをへらされて出勤日がへったことも休業支援給付金の支給対象となる「休業」です。
休業支援給付金の申請は原則として会社の協力を得て行ないますが、会社が申請に必要な書類への記入に応じない場合でも、労働者が自分で申請することもできます。
休業支援給付金の支給対象は中小企業の労働者ですが、大企業であってもシフト制労働者などは支給対象です。
返済が必要な「貸付金」とちがい、休業支援給付金は返済不要の「給付金」です。
アルバイト、パートタイム労働者、有期契約労働者。正規雇用ではない労働者ももちろん支給対象です。
申請漏れがありませんように。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象期間の延長及び緊急事態宣言の発令等に伴う地域特例のお知らせ
リーフレットでは支給対象となる休業の期間が「〜7月」と記載されていますが、「〜8月」末まで延長されます。
参考記事 労働者本人が申請できる【休業支援給付金】対象「休業」8月末まで延長
【編集後記】
もともと正規雇用とくらべて低く不利な労働条件で働いている非正規雇用の労働者。
コロナ禍の影響でさらにシワ寄せを受けて不利な状況に追いやられることはあまりに理不尽な話です。
(厚生労働省)労働局の紛争調整委員会によるあっせんなどを利用して個別労働紛争の早期解決をめざすのも1つの方法です。
参考記事
【コロナ影響で自宅待機】正社員以外に休業手当支給されない場合どうするか
「内向型」労働者へお勧めしている労働局・労働委員会「あっせん」。対象となる紛争は何?
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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