「離職日」という言葉はふだん使わないのですが、雇用保険で出てきます。
「雇用保険の離職日っていつですか?」
「雇用保険の離職日っていつですか?」という質問を受けました。
どういう質問なのか意味をたずねたところ、
「離職日」とは
- 会社を退職した日なのか?
- 退職後にはじめてハローワークに行った日なのか?
どちらをいうのか知りたいとのことでした。
「離職」という言葉は日常生活用語ではありませんので、確かにわかりづらいです。
「離職日」は会社を退職日・解雇日
「離職日」とは
- 会社を退職日(解雇日)なのか?
- 退職後にはじめてハローワークに行った日なのか?
「離職日」は、退職日(解雇日)です。
離職日とはいつのことをいうのか?実は知っておく必要がある大事な理由があります。
「離職日」がいつなのか知っていなければならない理由は何でしょうか?
基本手当(失業手当)を受けとれるのは「離職日」の翌日から1年間
基本手当は最長で所定給付日数分を受けとることができます。
たとえば65歳未満で20年以上働き続けてきた(雇用保険の被保険者だった)人が自己都合退職(辞職)したときは、最長で150日の基本手当(失業手当)を受けとれます。
「離職日」の翌日から1年以内に失業している日について最大150日の基本手当を受けとります。
雇用保険法15条(失業の認定)
(1項)基本手当は、受給資格を有する者(次節から第四節までを除き、以下「受給資格者」という。)が失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。以下この款において同じ。)について支給する。
基本手当(失業手当)の支給を受けることができる期間(受給期間)は、原則として受給資格に係る離職の日の翌日から1年間です。
雇用保険法20条(支給の期間及び日数)
(1項)基本手当は、この法律に別段の定めがある場合を除き、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める期間(当該期間内に妊娠、出産、育児その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上職業に就くことができない者が、厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長にその旨を申し出た場合には、当該理由により職業に就くことができない日数を加算するものとし、その加算された期間が四年を超えるときは、4年とする。)内の失業している日について、第22条第1項に規定する所定給付日数に相当する日数分を限度として支給する。
1号 次号及び第三号に掲げる受給資格者以外の受給資格者
当該基本手当の受給資格に係る離職の日(以下この款において「基準日」という。)の翌日から起算して1年2号 基準日において第22条第2項第1号に該当する受給資格者
基準日の翌日から起算して1年に60日を加えた期間3号 基準日において第23条第1項第2号イに該当する同条第2項に規定する特定受給資格者
基準日の翌日から起算して1年に30日を加えた期間
所定給付日数が1年近い人については少しだけですが受給期間が長くなっていますし、妊娠、出産、育児、病気やケガで働けない期間は受給期間の延長の手続きができます。
しかし、原則として1年以内に受けとれなかった場合、所定給付日数の残りがあったとしても、残りの基本手当は受けとれずに消えてしまうのです。
基本手当を受けとるためには、退職後・解雇後にはじめてハローワークに行って求職の申込みをしてから7日間失業していること(待機期間が満了すること)が必要です。
雇用保険法15条(失業の認定)
2項 前項の失業していることについての認定(以下この款において「失業の認定」という。)を受けようとする受給資格者は、離職後、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。
自己都合退職の場合にはさらに2ヶ月間受けとるまで待つ(給付制限)期間があります。
労働者本人に責任がある重大な理由で解雇された(重責解雇)や自己都合退職でも給付制限が3ヶ月の場合もあります。
待機期間と場合によっては給付制限期間もあわせて、基本手当を受けとれる期間は「離職日」の翌日から1年以内です。
「離職日」は退職後・解雇後にはじめてハローワークに行った日ではありません。
「離職日」は退職日・解雇日です。
「離職日」の翌日から1年以内に基本手当を受けとり終わらなければならないのです。退職した・解雇されたら、早めにハローワークに行って求職の申込みをして失業の認定を受けることが必要です。
退職後・解雇後にハローワークに出頭する日を遅らせても、基本手当を受けとれる期間を先延ばしにできません。
「離職日」は退職日・解雇日です。離職日の翌日から1年以内に基本手当(失業手当)を受けとれなかった残りの分は消えてなくなってしまうのです。
「離職日」とはいつのことをいうのか。勘違いがありませんように知っておいていただきたいと思います。
【編集後記】ペルセウス座流星群。見られるかとおとといと夕べ(2021/08/12)と楽しみに空を見上げましたが、あいにく(東京は)雲で覆われていて見えず。今夜も難しいでしょうか。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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