あなたが会社との間で働く上でのトラブルが起きている、労働問題が発生している。
労働問題に直面すると個別(的)労働関係と集団的労働関係という聞き慣れない言葉を耳にします。
個別的労働関係と集団的労働関係。
労働関係とは会社と労働者の関係のことです。
労働関係の「個別」と「集団」とはどういうことなのか?見てみましょう。
労働問題とは
解雇、退職勧奨・退職強要、雇止め、配置転換、懲戒処分。
賃金、残業代、労働時間、休憩・休日。
募集・採用。
いじめ・嫌がらせ、パワハラなど職場環境。
労働災害、倒産。
最近では、性的指向・性自認に関連することなども。
労働者と会社との間の何らかの問題を労働問題といいます。
あなたが働くうえで困っている問題を労働問題と考えるとわかりやすいかもしれません。
労働者と会社との間の何らかの問題がもつれて争いになっている・もめごとになっているのが労働紛争です。
労働紛争は、個別労働紛争と集団的労使紛争の2つに分けることができます。
労働者個人と会社との間の個別労働紛争。労働組合と会社との間の集団的労使紛争。労働紛争は2つに分かれます。
個別労働関係紛争
「個別労働関係紛争」。漢字ばかりでわかりずらい言葉です。
労働者と使用者(会社)との間の関係が労働関係です。労働者と使用者が労働関係の当事者です。
1人の労働者(労働者個人)と会社(使用者)との関係を個別的労使関係といいます。
労働者個人と会社との労働問題がもめごとになっているのが、個別労働関係紛争です。
労働関係紛争とは労働者と使用者との労働関係をめぐる紛争(もめごと)のことです。
労働関係紛争の当事者は労働者と使用者です。
労働関係紛争の当事者の「労働者」が1人の労働者(労働者個人)の場合が「個別労働関係紛争」です。
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(目的)1条
この法律は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「個別労働関係紛争」という。)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。
集団的労働関係紛争
集団的労働関係(集団的労使関係)とは労働組合と使用者との関係のことです。
ここでいう集団とは労働組合のことをいいます。
集団的労使紛争とは、労働組合と使用者との間で生じた労働条件や労使関係に関する紛争のことです。
紛争の内容が労働者個人と会社との間の個別労働紛争であるものも含めて、労働組合と使用者との間で生じているもめごとは集団的労働関係紛争(集団的労使関係紛争)です。
労働組合を通じて労働問題の解決をめざして争われている場合は、労働者個人と会社との労働問題のもめごとも集団的労働関係紛争となります。
本来は、労働契約は労働者個人と会社とが締結するものですから、労働者個人と会社という当事者以外が労働関係に関わることは認められないはずです。
しかし、近代市民社会とは経済的には資本主義社会です。
会社と1人の個人としての労働者との力関係は差があり、圧倒的に会社が有利です。
会社と労働者個人が対等な関係で労働関係をつくるためには、会社の力を制限することと労働者の力を強くする必要があります。
そこで、1人の個人としては力が弱い労働者が集団をつくり、集団の力で労働者が会社と対等な関係をめざすことになりました。
この労働者の集団が労働組合です。
日本では戦後に日本国憲法が制定され、労働組合をつくること、労働組合が会社と団体交渉すること、労働組合がストライキをすることの3つが憲法上の人権として保障されました。
そして労働組合法で後押しされています。
労働組合法では、労働組合の要件がきめられていますが、労働組合法の要件を満たさない組合も労働組合として活動できます。
最高法規である憲法が労働組合を保障しているからです。
日本国憲法28条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
労働組合法1条(目的)
この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。
労働組合法2条(労働組合)
この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。
(但し書き以下略)
2020/10/21 狭山公園
【編集後記】
労働問題に直面したとき、あなたは「集団」的労働関係で解決をめざすことができますし、「個別」的労働関係で問題の解決をめざすこともできます。
集団である会社には、集団である労働組合を通じて対抗するのは力強いです。
集団である会社に1人の個人だけで対抗するのは力関係で弱いからです。
労働組合を通じてではなく、
個人として会社との労働問題の解決をめざすには、
公的機関である労働局や労働委員会のあっせんを求める方法があります。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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