「仕事の勤務時間中に仕事以外で骨折」で検索してBlogの記事を読みにきた方がいます。
労災になるでしょうか?ならないのでしょうか?
就業時間内に仕事以外でケガ。労災(業務災害)になる?ならない?
「仕事の勤務時間中」であっても「仕事以外で骨折」したのであれば、労災(業務災害)とはならないのでしょうか。
業務災害として労働災害と認められるためには2つの要件を満たす必要があります。
要件とは、法律上の効果が発生するために必要な条件のことです。
業務災害の要件は、業務遂行性と業務起因性の2つです。
業務遂行性と業務起因性の2つとも満たすと業務災害であると認められます。
「仕事の勤務時間中に仕事以外で骨折」した。
業務遂行性と業務起因性の2つとも満たすのであれば業務災害(労災)であると認められますし、どちらか1つでも満たさない場合は業務災害(労災)とは認められません。
業務災害の2要件の1つ【業務遂行性】
業務災害の2要件のうちの1つは「業務遂行性」です。
業務遂行性は、仕事中に発生したケガや病気なのか?が問われます。
仕事中に発生したケガや病気なのであれば、業務遂行性があります。
「仕事の勤務時間中」に「骨折」したのですから、業務遂行性はある(業務遂行性は認められる)といえます。
業務災害の2要件の1つ【業務起因性】
業務起因性は、仕事がケガや病気の原因であるか?が問われます。
仕事がケガや病気の原因であれば、業務起因性があります。
業務遂行性がある(業務遂行性が認められる)なかで発生した事故(病気やケガ)は、原則として業務起因性があると認められます。
たとえば会社や工場などの事業場のなかで勤務時間中や残業や準備・片付けなど仕事をしているときにケガをしたり病気になった場合は、特別な事情がないかぎり業務起因性があり業務災害(労災)と認められます。
しかし、業務起因性がない(業務起因性が否定される)と判断される場合もあります。
所定労働時間内や残業時間内に事業場施設内において業務に従事しているが、「業務起因性」が否定される例 | |
---|---|
1 | 労働者が就業中に私用(私的行為)を行い、又は業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それが原因となって災害を被った場合 |
2 | 労働者が故意に災害を発生させた場合 |
3 | 労働者が個人的なうらみなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合 |
4 | 地震、台風など天災地変によって被災した場合(ただし、事業場の立地条件や作業条件・作業環境等により、天災地変に際して災害を被りやすい業務の事情があるときは、業務災害 と認められます。) |
「仕事の勤務時間中」に「仕事以外で骨折」。
「仕事以外で」が、なにを意味しているのかを確認しなければ、業務起因性があるのか?ないのか?わかりません。
- 勤務時間中に私用をおこなっているときに骨折した。
- 勤務時間中に個人的なうらみが原因でケンカになって骨折した。
という場合であれば、業務起因性がないとされます。
- 勤務時間中に便意をもよおし、仕事をしているときではなくトイレで転んで骨折した。
- 勤務時間中にのどがかわいて、仕事をしているときではなく飲み物をいれるために給湯室に行ったときにすべって転んで骨折した。
トイレで用を足す、のどがかわいて水分をとる。
このような生理的行為は仕事そのものではありませんが、業務(仕事)に付随(ふずい)する行為として業務起因性が否定されない、つまり業務起因性があると認められることになります。
業務遂行性と業務起因性の2つ。どちらもあると認められると業務災害(労災)と認められます。
「仕事の勤務時間中に仕事以外で骨折」した。
業務災害となる場合、業務災害にならない場合。両方あります。
【編集後記】
今日は友人のお墓参りに行きました。
不思議と毎年よく晴れておだやかな天気にめぐまれます。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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