私が働いている職場は、労災保険が適用されるのか?
労災保険が適用される職場と適用されない職場があるのでしょうか。
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Q.私が働いている職場は労災保険が適用されるの?
A.労働者を1人でも雇って働かせている事業は労災保険の適用事業です。
事業主や労働者の意志とは関係なく、あなたが働いている職場には労災保険が強制的に適用されています。
あなたが働いている職場が「個人経営の農林水産事業の一部」だけに当てはまる「暫定任意適用事業」でない限りは、労災保険に強制加入となる職場、労災保険の当然適用事業です。
事業主は、労働者を1人でも雇っていれば、労働保険に加入し、労働保険料を納付する必要があります。
1人でも労働者が働いている事業は、労災保険の強制加入です。
ただし、個人経営の農林水産事業での一部は強制加入ではない、労災保険の暫定任意適用事業になります。
労災保険の「暫定任意適用事業」とは?
労災保険の暫定任意適用事業とは、労災保険に強制加入とはならない事業のことです。
労災保険は1人でも労働者を働かせる事業は強制加入が大原則ですので、暫定任意適用事業は一部の例外しか当てはまりません。
労災保険の暫定任意適用事業は、個人経営の農林水産業のうち3つの事業だけに限られています。
- 労働者数5人未満の個人経営の農業であって、特定の危険又は有害な作業を主として行う事業以外の事業
- 労働者を常時は使用することなく、かつ、年間使用延労働者数が300人未満の個人経営の林業
- 労働者数5人未満の個人経営の畜産、養蚕又は水産(総トン数5トン未満の漁船による事業等)の事業
労災保険の暫定適用事業となる(1)〜(3)はすべて「個人経営」の場合だけです。
会社など法人の事業であれば労働者を1人でも働かせている事業は、農林水産業でも労災保険の強制加入の事業です。
労災保険の強制加入とならない暫定任意適用事業でも、労働者の過半数が加入を希望した場合は、労災保険に加入しなければならないことになっています。
また、労働者の過半数が希望していない場合でも、暫定任意適用事業の事業主が加入を希望すれば労災保険に加入できます。
事業主が労災保険の加入手続きをしていなくても、労働者は労災保険給付をうけられる
労災保険から給付をうけることができる対象となるのは労働者です。
労働災害の対象は事務所や工場にかぎりません。仕事での出先や出張先、通勤も含めて労災保険からの給付を受けられます。
正社員、パート、アルバイト、名称に関わらず、1日だけ働いた場合など期間に関わらず、労働者であれば誰でも労災保険給付をうけられます。
通勤や仕事で労働者がケガをしたり病気になった。
労災保険の適用事業で働く労働者が労働災害に遭った場合は、労災保険から給付をうけられます。
もしも会社など事業主が労災保険の加入手続きをせず保険料を払っていなかった場合でも大丈夫です。
意外に知られていませんが、会社が労災保険に加入していなかった場合でも、通勤や仕事でケガをしたり病気になったら労働者は労災保険からの給付をうけられます。
「うちの会社は労災保険に加入していないから、無理だよ」と言われても関係ありません。
通勤や仕事で労働者がケガをしたり病気になったら、労災申請(労災保険給付の請求)をしましょう。
労災保険からうけられる給付は、まずは医療です。
医師による診察・治療、薬局からうけとる薬、無料で療養をうけることができます。
そして、医師による指示で療養のために仕事を休んだ日は給料の約8割の金額が支給されます。
治療をうけても障害が残った場合には、年金や一時金が支給されます。
ほかにも労災保険からの給付がありますが、仕事や通勤でケガをしたり病気になった場合にはまずは療養(補償)給付、休業(補償)給付をうけることになります。
参考記事
【労災保険】仕事での病気やケガ。どんな給付を受けられるのか?
【労災申請】労災指定病院以外で受診したときの医療費も労災保険から支給される
【編集後記】
働いている職場が労災保険の適用になっているのか心配になる方がいるでしょう。
1人でも労働者が働いている職場は労災保険の適用事業です。
職場が労災保険の加入手続きをしていないために保険料を払っていない場合でも、労災保険からの給付を労働者はうけることができます。
仕事や通勤でケガをしたり病気になったら、労災申請(労災保険給付の請求)をかならずしましょう。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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