労災隠しは犯罪です。労災は報告し、労災申請しましょう。

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『労災隠し容疑で書類送検 アルミ最大手UACJ』

2018/2/10 日本経済新聞

「名古屋南労働基準監督署は9日、アルミニウムの加工作業中に起きた労災事故を報告しなかったとして、労働安全衛生法違反の疑いで、アルミ製品製造会社のUACJ(東京)と、同社名古屋製造所(名古屋市港区)の男性主任(52)を書類送検した。」

「送検容疑は昨年7月、名古屋製造所で働く20代の男性社員がアルミを溶かす作業中に左手首にやけどを負い、届け出が必要な4日以上の休業を要するけがをしたのに、労基署へ速やかに報告しなかった疑い。」

労災隠しは犯罪です

「労災かくしとは、『故意に労働者死傷病報告を提出しないこと』又は『虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出すること』をいい、このような労災かくしは適正な労災保険給付に悪影響を与えるばかりでなく、労働災害の被災者に犠牲を強いて自己の利益を優先する行為で、労働安全衛生法第100条に違反し又は同法第120条第5号に該当することとなります。
このような労災かくしに対して厚生労働省は、罰則を適用して厳しく処罰を求めるなど、厳正に対処することとしています。」

労災かくしは犯罪です 厚生労働省

労働安全衛生規則

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第九十七条(報告)

事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

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「労働者死傷病報告」は、業務災害でなくても就業中以外であっても事業場内や付属する建設物・敷地内等で負傷 等した場合も提出が義務付けられています。

労働基準法施行規則

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第五十七条 使用者は、次の各号の一に該当する場合においては、遅滞なく、第一号については様式第二十三号の二により、第二号については労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)様式第二十二号により、第三号については同令様式第二十三号により、それぞれの事実を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
一 事業を開始した場合
二 事業の附属寄宿舎において火災若しくは爆発又は倒壊の事故が発生した場合
三 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷し、窒息し、又は急性中毒にかかり、死亡し又は休業した場合
○2 前項第三号に掲げる場合において、休業の日数が四日に満たないときは、使用者は、同項の規定にかかわらず、労働安全衛生規則様式第二十四号により、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実を毎年各各の期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

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法違反というだけでなく、「労働者死傷病報告は、労働災害統計の作成などに活用されており、提出された労働者死傷病報告をもとに労働災害の原因の分析が行われ、同種労働災害の再発を防止するための対策の検討に生かされるなど、労働安全衛生行政の推進に役立てられています。」から、遅滞なく正しい報告が必要です。

労働災害が発生したとき 厚生労働省

業務上災害による4日以上の休業は遅滞なく労働者死傷病報告が法的義務です

労働者私傷病報告

労災に遭ったら労災申請しましょう。

会社(社長)、関連企業にお勤めの方なら親会社の方から、
“労災申請しないで健康保険で治療してほしい”
“健康保険の自己負担分は代わりに支払うから労災申請しないでくれ”
と頼まれても断りましょう。

会社のためを思って労災を隠したいと言われても、
労災隠し法律違反の犯罪であり会社のためにならない、
労災隠しが発覚した場合は書類送検され会社のイメージが大きく損なわれる、
労災に遭った方本人はもちろん、会社にとっても、労災隠しは認めてはならないものです。

労災に遭ってしまったら、労災申請しましょう。

今日の1日1新

FAMIMAもちもちくるみパン

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格