労働災害発生状況(12月速報値)を厚生労働省が公表しています。
「12月速報値」は、2021年1月1日から11月30日までに発生した労働災害について、12月7日までに報告があったものを集計したものです。
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2021年12月速報値【労災】死亡者数は696人(前年対比6.9%増加)
2021年1月1日から11月30日までに発生した労働災害で死亡した方は696人もいます。
労災死亡者数は、前年対比で6.9%増えています。
業種別の労災死亡者の割合をみると、建設業が約35%、第三次産業が約25%、製造業が約17% 。
建設業、第三次産業、製造業の3業種で全体の約77%を占めています。
【労災】死亡災害は落ちる・はさまれ巻き込まれ・交通事故で約60%を占める
死亡災害の原因は落ちる(墜落・転落)が一番多く、はさまれ・巻き込まれ、交通事故(道路)が続きます。
落ちる、はさまれ・巻き込まれ、交通事故、この3つの事故型別で全体の59%を占めています。
2021年12月速報値【労災】休業4日以上の死傷者数は123,165人(前年比19.8%増)
休業4日以上の死傷者数は123,165人。前年比約20%(19.8%)増加しています。
休業4日以上の死傷者数は、業種別では第三次産業が6万5,569人と一番多く、第三次産業の死傷者数は前年比で30.5%も増加しています。
「サービス業など第三次産業は労災と関係ない」と思っている方がいますが、休業4日以上の死傷災害で一番多いのが第三次産業なのです。
休業4日以上の死傷災害で一番多い原因は転倒です。
新型コロナ感染症を除くと、落ちる(墜落・転落)、腰痛など動作の反動・無理な動作が続き、転ぶ・落ちる、腰痛などで、休業4日以上の死傷災害全体の約50%を占めています。
【労災】落ちる・転ぶが死亡災害・休業4日以上の死傷災害の最大原因
死亡災害で一番多い原因が墜落・転落。
落ちる事故だけで死亡事故全体の約4分の1(26%)を占めています。
休業4日以上の死傷災害で一番多い原因が転倒。
転ぶ事故だけで休業4日以上の死傷災害約4分の1(22%)を占めています。
落ちる事故(墜落・転落)が14%と続きます。
落ちる・転ぶが死亡災害・休業4日以上の死傷災害の最大原因であることがわかります。
「落ちる・転ぶ」は働く上でもっとも危険なことです。
落ちる・転ぶを仕事からなくすことは、会社(使用者・事業者)が絶対にしなければならないことです。
落ちる・転ぶ事故が仕事で起きたら、二度と起きないための具体的な対策を会社にさせなくてはなりません。
「落ちる危険があるから気をつけろ」
「転ぶと危ないから気をつけろ」
こんな精神論は許されません。
「だから気をつけろと言ったじゃないか!」
「気をつけろと言ったのにケガしたのはお前の責任だ」
は許されません。
労働者が自分の身を守るように注意して危険を回避することは、もちろん大切です。
しかし、労働者が「うっかり」してもケガをしないための危険防止の対策をすることは会社(使用者・事業者)の責任です。
そして、もしも「落ちる・転ぶ」事故で仕事でケガをしたときには「気をつけろと言ったのにケガをしたのはお前の不注意だから労災じゃない」ではありません。
不注意による「落ちる・転ぶ」事故も、労災です。
労災申請(労災保険の給付請求)を必ずしましょう。
会社が「労災じゃない!」と言っても関係ありません。
会社が労災申請に協力しないときには、労働者だけで労災申請することができます。
労災申請は必ずしましょう。
【編集後記】
落ちる・転ぶ。
年末寒波で雪が降る。年明けて冷え込んで雪が降る。
すでに大雪が降っている地方もあります。
雪で転んでケガ。
通勤でも仕事でもどちらでも、雪による転倒でのケガは労災です。
通勤や仕事で雪で転んだケガ、もちろん労災申請します。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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