【労災保険】治って退職後に再発。休業補償を受けられる?

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業務上のケガや病気で労災保険から休業補償給付を受けていた人が治ったあとで退職した。

退職後にケガや病気がまた悪くなってしまった。

労災保険から給付を受けて一度治って、会社を辞めた。

そして会社を退職したあとで再発したときに労災保険から給付を受けられるのでしょうか?

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会社を辞めたあとでも、労災保険の給付を受けられる

会社で仕事をしていてケガをして療養補償給付(病院での治療費全額)と休業補償給付(療養のために会社を休んでいる間の給料の代わり)など、労災保険の給付を受けていた。

業務上のケガや病気で労災保険からの給付を受けて療養と休業をしている間に会社を退職した。

会社を辞めてしまったあとも、引き続き労災保険の給付を受けられます。

労災保険法12条の5

(1項)保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

病気やケガが治っても再発したら、労災保険の給付をうけられる

「治った」とは

労災保険における傷病が「治ったとき」とは、体が健康状態に完全に回復したときだけではありません。

病気やケガの症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態を、労災保険では「治った」といいます。

この「治った」状態のことを、労災保険では「治癒」(ちゆ)・症状固定といいます。

「治癒」(ちゆ)・症状固定すると、療養補償給付や休業補償給付などの労災保険からの保険給付は受けられなくなります。

療養・休業することで、少しづつでも良くなってきていることの事実を伝え、安易に症状固定治癒とされないようにしましょう。

「再発」とは

ケガや病気がいったん症状固定と認められた後でも再び発症することがあります。

3つの要件を満たす場合には「再発」として、再び労災保険から療養補償給付や休業補償給付などの保険給付を受けられます。

労災保険での病気やケガの再発とは
1 その症状の悪化が、
当初の業務または通勤による傷病と相当因果関係があると認められること
2 症状固定の時の状態からみて、明らかに症状が悪化していること
3 療養を行えば、その症状の改善が期待できると医学的に認められること

労災保険における傷病が「治ったとき」とは・・・(厚生労働省)

労災が治ったあとで退職。退職後に再発しても、労災保険の給付を受けられる

戦前の工場法では、業務上の病気やケガをしても退職後に再発した場合には補償しなくてもよいことになっていました。

しかし労働基準法では、退職後に再発した場合にも災害補償を受けられることになっています。

退職後の再発も労災保険からの給付を受けられます。

労災保険法12条の5

(1項)保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

業務上のケガ・病気が再発した場合の取り扱い(1948年1月9日基災発第13号)
1 再発は、原因である業務上の負傷又は疾病の連続であって、独立した別個の負傷又は疾病ではないから引続き災害補償は行われるべきである。
2 解雇後といえども再発と認定される限り災害補償は行われるべきである
3 解雇後における再発の場合の休業補償費はその原因たる業務上の負傷又は疾病を事由として労働基準法第12条により算定した平均賃金をもって算定する。

【編集後記】

労災で病気やケガをして労災保険からの給付を受けて「治った」あとに退職した。

退職した後に病気やケガが再発した。

一度「治った」あとでも、再発したらまた労災保険から給付を受けられることを知っておいていただきたいと思います。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格