建設現場で作業中に落下して足を骨折しました。
労災として認められて、労災保険から医療費(療養補償給付)と給料の代わり(休業補償給付)を受けていました。
少しよくなってきていたのですが、自宅でトイレから出るときに転んで、仕事で骨折したのと同じ場所をまた骨折してしまいました。
病院で治療を受ける期間と、働けずに仕事を休む期間が、さらに長く必要になってしまいました。
今回の骨折は仕事中のケガではないのですが、労災保険からの給付はどうなるのだろうか?
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労働災害の療養中の日常生活でのケガであっても、労働災害として認められる場合があります。
仕事中にケガをして労働災害として認められて仕事を休んで療養中に、仕事とは関係ない日常生活でケガをしてしまい、仕事中にのケガがさらに悪くなってしまったということも起こりえます。
仕事で起きたケガが労働災害として労災保険から給付を受けていたとしても、日常生活でのケガによる悪化についてまで、労災保険から給付を受けられるのかどうかということが問題になります。
仕事中ではない日常生活中のケガだから、労働災害とは関係ないとは必ずしもなりません。
仕事で起きたケガと療養中に起きたケガとの間に相当因果関係があると認められれば、療養中に起きたケガについても労災保険から補償の給付を受けることができます。
療養をしている中で、必要な日常の動作によるケガである場合は、引き続き補償の対象になります。
Q.業務上のケガで右腓骨(ひこつ)を骨折した方が、自宅で用便後に転んで再び骨折した → A.業務上です。
この場合の再骨折は、療養の過程における必要な日常の動作によって、業務上のケガによる骨折部を再び骨折したものですから、はじめの骨折との間に因果関係が続いています。
引き続き労災保険からの補償の対象となります。
昭和34年10月13日基収5040号
私的行為によるケガである場合は、労災保険の給付の対象になりません。
Q.業務上のケガで右大腿骨(だいたいこつ)を骨折した方が、ほとんど治っていた。友だちのバイクに乗り転んだら、同じ場所を再び骨折した。 → A.業務外(労災保険の補償の対象にならない)
折れた骨はほぼ完全に癒合(ゆごう)していましたが、まだマッサージをしていた方が、お見舞いにきた友人のバイクに乗って転倒して、再び同じ場所を骨折してしまったというケースです。
この場合は、ケガをした本人の私的行為によるケガなので、業務外となりました。労災保険の補償の対象になりませんでした。
昭和32年12月25日基収6636号
【編集後記】
仕事中に骨折して労災認定されて療養中に友だちのバイクに乗って転んで同じ場所を骨折。
このような明らかな私的行為の場合は労働災害として認められないというのは理解できます。
しかし、実際には、私的行為なのか、療養過程での必要な日常の動作なのか、はっきりとしないこともあります。
そもそも仕事によるケガがなければ、日常生活での出来事によってケガをするまでのことはなかった、これほどひどいケガになることはなかったのであれば、引き続き補償の対象になるように主張していくことが大事です。
昨日の1日1新:ピーチのスムージー
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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