令和2年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況が2021年6月1日に厚生労働省から発表されています。
2021年労働災害動向調査結果から、事業所の規模が小さいほど労働災害が発生していることがわかります。
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事業所の規模が小さいほど労働災害が発生している
2021年労働災害動向調査結果をみると、働いている職場が小さければ小さいほど、あなたが労働災害に遭う危険性が高くなることがわかります。
事業所規模100人以上における労働災害の状況をみると、度数率が 1.95(前年 1.80)、強度率が 0.09(同 0.09)、死傷者1人平均労働損失日数が 44.5 日(同 52.3 日)となっています。
- 1,000 人以上では、度数率が 0.69、強度率が 0.03
- 100~299 人では、 度数率が 2.60、強度率が 0.12
事業所規模別に労働災害の状況をみると、度数率・強度率ともに、事業所規模が小さくなるほど高くななっています。
「度数率」とは労働災害発生の頻度のこと
「度数率」とは、100 万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、労働災害発生の頻度を表しています。
度数率が高いほど、労働災害が発生していることことを意味します。
「強度率」とは労働災害の重さの程度のこと
「強度率」とは、1,000 延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数で、労働災害の重さの程度を表しています。
強度率が高いほど、大きな労働災害が発生していることを意味します。
事業所の規模が小さくなれば小さくなるほど労働災害が発生しやすく、重い労働災害になりやすい
事業所の規模が小さくなるほど、度数率・強度率ともに高くなっています。
事業所の規模が小さくなれば小さくなるほど、労働災害が発生しやすく、重い労働災害となりやすい傾向がわかります。
職場が小さいほど、「気をつけろ」「危ないって言っただろう」など精神論が振りかざされます。
もちろん、ケガをしないように注意して仕事をすることは大切ですが、一番重要なのは危険箇所・危険作業をなくすことです。
危ないから気をつけろではなく、危ないことをなくすことが一番大切です。
労働災害の発生をふせぐには、職場の危険をなくさせることが一番重要
労働災害が発生しないために、ヒヤリ・ハット事例をもとに職場の危険をなくさせましょう。
そして業種ごとに起こりやすい災害について知って、労働災害を防止するために危険をなくさせます。
「滑りやすいから気をつけろと言ったのに転んだのは不注意なお前のせいだ。労災じゃなくてお前のミスだ」
「床に出っぱりがあるからつまづくなと言ったじゃないか。ケガしたのはお前の責任だから労災じゃないぞ」
これは許されることではありません。(そして、もちろん労災です。)
滑りやすいことがわかっているなら、滑らない措置をとらなければならない。
つまづく危険がわかっているのだから、出っぱりをなくす・出っぱりの周りを覆って通れなくすることが必要です。
参考記事
「転んでケガしたのは自分の不注意だから労災保険使えない」は本当か?
労働災害が起きてしまったときは、必ず労災申請する
労働災害を再発させないために具体的な改善策・対策を求めるためには、労働災害が起きたことを職場で認識すること、労災申請をすることが不可欠です。
労働災害なのに健康保険をつかって医療にかかることは、「労災かくし」であり違法です。
労働災害を再発させない職場づくりのためにも「労災かくし」をしてはいけないのです。
「労災保険を使わない(労災申請をしない)で健康保険を使ってくれ」と言われても健康保険を使ってはいけません。
労働災害に遭ってしまったら、労災申請(労災保険の給付請求)を必ずしましょう。
参考記事 労災保険を使わないでくれと会社に言われたらどうする?
職場が労災申請に協力的でない、職場が労災と認めない。
こんなときは会社の協力がなくても労働者が労災申請します。
労災申請で困ったときには、労働者の立場で労災について取り組んでいる社会保険労務士に相談・依頼することができます。
【編集後記】
昨日(2021/07/11)の午後は雷。バラバラと音がするので外を見ると屋根に勢いよく氷がぶつかっている。「雹」(ひょう)でした。
梅雨の雨というよりも真夏の夕立。まもなく梅雨明けでしょう。
雨が降り出す前に散歩とちゅうに見つけたネコ(2021/07/11)
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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