障害年金を請求して支給開始されたあとに、さらに障害の程度が重くなることもあります。
障害が重くなったときには年金額を増やす請求、障害年金の額改定請求ができます。
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障害年金を受けとっていて、障害がもっと重くなったら年金額を増やすように請求できる
病気やケガが原因で障害の状態に該当するようになったあとでも、原因となる病気やケガによっては障害の程度が軽くなることもあれば障害が重くなることもあります。
障害年金を受けとり始めたあとから、障害の状態の程度が変わることももちろんあります。
障害年金を受けとっている方も多くの方は何年か(1〜5年)に一度、更新の手続きで診断書を提出して障害の状態を審査されます。
更新の手続きで審査された結果、障害の状態が重くなっていると判断されて障害等級が上がると、受けとる障害年金の額が多くなります。
審査の結果、障害の状態が軽くなっていると判断されて障害等級が下がると、年金額が変更され受けとる額が少なくなります。
(障害等級に該当しない程度に障害が軽くなると障害年金の支給が停止されます。)
障害が重くなったときには、次の更新の手続きの時期を待たなくても、請求することで年金額を増やすことができます。
障害年金の額改定請求です。
(障害の程度が軽くなった場合は次回更新の手続きで判断されますので、年金額をへらす請求をする必要はありませんし、へらす請求はできません。)
国民年金法34条2項
障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定を請求することができる。
厚生年金保険法52条2項
障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
障害年金の額の改定請求をするには、診断書とは別に「障害給付 額改定請求書」を提出します。
障害の程度が変わったとき 日本年金機構
障害年金の額改定請求【原則】受給権取得日か障害の状態の審査どちらか遅い日から1年経過した日
障害年金の額の改定請求ができるのは、原則として障害年金の受給権を取得した日または障害の程度の審査を受けた日のどちらか遅い日から1年経過した日です。
1年間は待つ必要がある、というのが原則です。
国民年金法34条3項
前項の請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
厚生年金保険法52条3項
前項の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による実施機関の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
障害年金の額改定請求【例外】障害の程度の増進が明らかになとき
障害年金の額の改定請求ができるのは、原則として障害年金の受給権を取得した日・障害の程度の審査を受けた日、どちらか遅い日から1年経過した日です。
しかし、この1年間を待たずに障害年金の額の改定請求をできる例外があります。
障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合
です。
国民年金法34条3項
前項の請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
厚生年金保険法52条3項
前項の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による実施機関の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
具体的には、以下の表の中に該当した場合は、障害年金の額改定請求をすることができるようになります。
眼・聴覚・言語機能の障害 | |
---|---|
1 | 両眼の視力の和が0.04以下のもの |
2 | 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの |
3 | 8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの |
4 | 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき 測定した両眼の視野の合計がそれぞれ56度以下のもの |
5 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの |
6 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの |
7 | 喉頭を全て摘出したもの |
肢体の障害 | |
---|---|
8 | 両上肢の全ての指を欠くもの |
9 | 両下肢を足関節以上で欠くもの |
10 | 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの |
11 | 一上肢の全ての指を欠くもの |
12 | 両下肢の全ての指を欠くもの |
13 | 一下肢を足関節以上で欠くもの |
14 | 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
内部障害 | |
---|---|
15 | 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの |
16 | 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの |
17 | 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る) |
その他の障害 | |
---|---|
18 | 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わない ものに限る)を使用しているもの |
19 | 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置行ったもの(人工肛門を使用した状態およ び尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
20 | 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または 自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をい う)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を 超えて継続している場合に限る) |
21 | 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷 延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超え て継続している場合に限る)となったもの |
22 | 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る) |
支給が停止されている障害年金の支給再開はいつでも求めることができる
障害年金の支給が停止されている場合は、障害の程度が重くなったときには、いつでも支給が再開されます。
額改定請求とはことなり、障害の程度が軽くなったと判断されて年金が支給停止されているが再び障害の程度が重くなったときには、1年待つ必要はありません。
支給停止されている障害年金の支給を再開するためには、診断書とは別に支給停止事由消滅届を提出します。
参考記事
「障害年金 該当しなくなった」
【編集後記】
先週金曜日(2021/11/05)の多摩湖堰堤の眼の前にある狭山公園。
もうススキが見頃です。
ポタリング(自転車散歩)で出かけてみてはいかがでしょう。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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