障害年金は3つの要件を満たすと受けとることができます。
- <加入要件>初診日に年金に加入していること(厚生年金。国民年金は例外あり)
- <保険料納付要件>初診日の前日に年金保険料の納付要件をみたしていること
- <障害等級該当要件>障害認定日(原則は初診日から1年6月を経過した日)に障害の状態にあること
それでは3要件を満たして障害年金を受けとれることになったら、受けとれる障害年金はいくらなのでしょうか?
例として、
- 1978年4月2日生まれの方。
- 20歳からの国民年金は未納。(国民年金保険料の免除・猶予の手続きをしていない)
- 22歳の4月から働きはじめて厚生年金に加入し現在も同じ会社で在籍中。
- 41歳のとき(2019年9月1日)に交通事故で入院
- 41歳のときの交通事故のケガが原因で今年43歳の障害認定日(2021年3月1日)に障害等級に該当。
- 2000年4月〜2003年3月までの平均標準報酬月額が25万円。被保険者期間が36月。
- 2003年4月〜障害認定日の2021年3月までの平均標準報酬額が30万円。被保険者期間が216月。
- 2000年4月〜2021年3月までを合わせた厚生年金の被保険者期間が252月。
障害年金が支給されるとして受けとれる年金の額がいくらなのか?計算してみましょう。
Contents
国民年金の障害年金(障害基礎年金)はいくら受けとれるのか?
20歳〜60歳になるまでが国民年金の被保険者となります。初診日において国民年金の被保険者でもあります。
少なくとも65歳未満の厚生年金の被保険者は国民年金の被保険者として保険料を払っていることになりますので、23年間の被保険者期間のなかで保険料未納は20歳から22歳の2年間だけですので保険料納付要件を満たしています。
障害認定日に1級か2級の障害等級に該当する障害の状態でしたら国民年金から障害年金(障害基礎年金)を受けとることができます。
障害基礎年金の額は1級2級ともに固定額で1級の障害基礎年金の額は2級の障害基礎年金の額の1.25倍です。
2級の障害基礎年金の額は2021年度は780,900円です。
1級の額は976,125円です。
18歳年度末(18歳になってから最初の3月末)までの子。
20歳未満で障害等級1級2級の障害の状態にある子。
この「子」がいる場合には、障害基礎年金に子の加算がされます。
子の加算の額は以下の通り。
1人目2人目の子には1人につき224,700円。
3人目の子からは1人につき74,900円。
厚生年金の障害年金(障害厚生年金)はいくら受けとれるのか?
保険料納付要件を満たしていることは障害基礎年金で確認しました。
初診日に厚生年金の被保険者ですので、障害認定日において1級2級3級の障害等級に該当する状態の方は障害厚生年金を受けとれます。
障害厚生年金は障害基礎年金とはちがって、同じ障害等級の年金でも人によって受けとる年金額がことなります。
これまで払ってきた厚生年金の保険料の金額が人それぞれちがうからです。
厚生年金保険料の金額のもとになる給料の金額をもとに年金額が計算されます。
障害年金の額は老齢厚生年金の計算式で計算します。
同じ給料の額(平均標準報酬月額・平均標準報酬額)であれば、被保険者期間が長いほど年金額が高くなる仕組みです。
障害年金の計算では被保険者期間が25年(300月)未満の方は25年(300月)の被保険者期間として計算するようになっています。
厚生年金に加入したばかりの方でも(保険料納付要件を満たした方であれば)障害厚生年金の額が低くならないように25年分の厚生年金保険料を払っているように計算されるのです。
2000年4月〜2003年3月までの平均標準報酬月額が25万円。被保険者期間が36月。
2003年4月〜障害認定日の2021年3月までの平均標準報酬額が30万円。被保険者期間が216月。
合わせて厚生年金の被保険者期間が252月。
この例で計算して、受けとれる障害厚生年金はいくらになるでしょうか。
(250,000☓7.125☓36月+300,000☓5.481☓216月)☓300/252≒499,159(年額)
障害等級が2級か3級の障害厚生年金の金額は同じですが、2級には配偶者加算がありますが、3級には加算がつきません。
配偶者加算は2021年度は224,700円です。
障害等級が1級の障害厚生年金は同じ計算式で計算した額の1.25倍の額が支給されます。配偶者加算もは1級と2級の障害年金に支給されます。
障害等級1級2級の障害厚生年金なら障害基礎年金も受けとれる
国民年金(障害基礎年金)と厚生年金(障害厚生年金)障害年金の額を比べると、自分の給料から計算すると障害厚生年金の額は低くなりそうだと思うかもしれません。
1級か2級の障害厚生年金を受けとる方でしたら、障害厚生年金だけではなく障害基礎年金も合わせて受けとります。
年金は厚生年金を受けとれる方が有利になっています。
障害厚生年金だけを受けとるのは、3級の厚生年金を受けとる方だけです。
障害厚生年金だけだと年金額がとても低くなってしまう場合がありますので、3級の障害厚生年金には最低保証額があります。2021年度の最低保証額は585,700円です。
3級の障害等級に該当する状態では国民年金では障害年金を受けとれません。
ここでも障害年金は厚生年金が有利な仕組みになっています。
障害年金の初診日におい厚生年金の被保険者であるかどうかは、とても大きなちがいとなります。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日