障害年金は20歳以上の方が受け取ることができるので若い方であっても受け取れることを話すと、その分、将来受け取る年金(老齢年金)が減ってしまうのではないか?という質問を受けることがあります。
若いときに障害年金を受け取るのは、将来の老齢年金を取り崩して受け取るというイメージがあるのでしょうか。
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障害年金を受けても、将来受け取る老齢年金は減額されません。
老齢基礎年金(国民年金)は、20歳から60歳になるまで毎月保険料を480ヶ月(12ヶ月☓40年)払い続けると満額で受け取ることができます。
2018年度の老齢基礎年金の満額は779,300円です。
老齢基礎年金を受け取るためには保険料を払った期間または保険料免除を受けている期間が25年以上必要でしたが、昨年2017年8月から10年以上の期間があれば受け取れることになりました。
(10年以上の期間の計算に加わる“カラ期間”もありますが今回はその話は除きます。)
保険料を払っていない未納期間は年金の額を計算する期間には含まれません。
そして、保険料未納期間は年金には1円も反映されません。
しかし、同じ保険料を払っていない期間でも保険料の支払いの免除を受けた期間は、将来受け取る老齢年金の年金額が+に計算されます。
国民年金の保険料に国庫負担があるからです。
2009年度からは1/2が国庫負担です。(それより前は1/3が国庫負担でした)
つまり、全額の保険料免除を受けても国庫負担分は年金額に計算されるのです。
保険料の免除を受けた期間の年金額への反映は国庫負担の割合に応じて月ごとに計算しますが、計算式は今回は割愛します。
老齢年金の額の計算は保険料を支払った月、免除を受けた月、それぞれの月数で計算されるのです。
若いころに(若くなくて老齢年金を受ける間際に受け取り始めても)障害年金を受けたことがあるかは、将来受け取る老齢年金の額とは全く関係ありません。
障害年金と老齢年金は同時に2つは受け取れない。どちらか1つを選んで受け取る。
障害基礎年金と老齢基礎年金は同時に2つは受け取れません。どちらか1つを選んで受け取ります。
2つの年金の受給権が発生した場合は、どちらか有利な年金を選択して受け取ることができます。
障害年金(1級2級)を受けると、国民年金保険料を払わなくてもOK。
1級2級の障害年金を受けている方は、国民年金保険料が免除されます。
障害年金の受給が決まった方は早めに届け出て国民年金保険料の法定免除の手続きをしましょう。
国民年金保険料免除受けると、受け取る老齢基礎年金の金額が減ります。
国民年金保険料の免除を受けている期間は、保険料を支払わないので国庫負担分だけが老齢基礎年金の年金額に反映されます。
国民年金保険料免除受けると、受け取る老齢基礎年金の金額が減ります。
65歳から老齢年金を受け取れるようになっても、障害の状態に該当する場合は、引き続き障害年金を受け取れます。
老齢年金を受け取れるようになったら、障害年金を受け取れなくなるわけではありません。
障害年金か老齢年金のどちらか1つを本人が選択して受け取ることができるのです。
国民年金と厚生年金の組み合わせは65歳以降は選択できます。
障害基礎年金は2級で老齢基礎年金の満額を、1級で老齢基礎年金の満額の1、25倍の金額を受け取れます。
65歳以降も引き続き障害基礎年金を受け続ける方が良いでしょう。
しかし、障害の状態が軽くなり障害基礎年金を受け取れなくなると老齢基礎年金を受けることとなります。
この場合に、国民年金保険料免除受けて保険料を払っていない場合は受け取れる老齢基礎年金の額が少なくなります。
心配は場合は、障害基礎年金を受けて国民年金保険料の免除を受けても、あとから保険料を支払う“追納”ができます。
追納は年金事務所で申し込みを行ないます。
厚生労働大臣に承認された月の前10年以内の免除等期間の保険料を追納できます。
全額免除 | 4分の3免除 | 半額免除 | 4分の1免除 | ||
---|---|---|---|---|---|
平成20年度の月分 | 15,170円 | 11,380円 | 7,580円 | 3,790円 | |
平成21年度の月分 | 15,260円 | 11,440円 | 7,630円 | 3,810円 | |
平成22年度の月分 | 15,520円 | 11,640円 | 7,760円 | 3,880円 | |
平成23年度の月分 | 15,310円 | 11,470円 | 7,650円 | 3,820円 | |
平成24年度の月分 | 15,160円 | 11,360円 | 7,580円 | 3,780円 | |
平成25年度の月分 | 15,130円 | 11,350円 | 7,570円 | 3,780円 | |
平成26年度の月分 | 15,280円 | 11,460円 | 7,640円 | 3,820円 | |
平成27年度の月分 | 15,610円 | 11,700円 | 7,800円 | 3,900円 | |
平成28年度の月分 | 16,260円 | 12,190円 | 8,130円 | 4,060円 | 追納加算額なし |
平成29年度の月分 | 16,490円 | 12,370円 | 8,240円 | 4,120円 | 追納加算額なし |
日本年金機構 保険料の後払い(追納)をお勧めします! から表を引用作成
将来、障害の状態が軽くなり障害基礎年金を受け取れなくなって老齢基礎年金を受け取る場合に備えたいという方は、保険料の免除を受けずに保険料を払い続けるという選択もできます。
いずれにしても、若い時に障害年金を受けると、将来受け取る老齢年金が減ってしまうということはありません。
若い方でも安心して障害年金を請求していただいて大丈夫です!
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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