「障害年金を請求するので年金請求書への記入を依頼したい」という相談をうけることがあります。
もちろん、ご依頼をお受けすることもできるのですが、年金請求書への記入だけであれば、社会保険労務士に依頼することなくご自身でできる場合がほとんどです。
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障害年金「年金請求書」の記入は自分でもできる
障害年金の「年金請求書」への記入そのものは、難しくてできないというものではありません。
「年金請求書(国民年金障害基礎年金)」様式第107号 日本年金機構
「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付) 〔障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金〕」様式第104号 日本年金機構
障害年金の「年金請求書」は、年金事務所で受けとることができます。
障害年金請求の手続きの依頼を受けた社会保険労務士は、もちろん障害年金の「請求書」の作成と提出も代理して行ないます。
しかし、社会保険労務士が障害年金請求の手続き代理の依頼を受けるのは、障害年金の「請求書」を作成するよりも、他の書類も含めて請求者にとって適切な内容の書類を準備・作成するためだと言えます。
障害年金を請求するために必要な書類はいくつもありますが、なかでも特に重要な書類は3つあります。
- 「受診状況等証明書」(初診日を、医師が記入して証明)
- 「診断書」[障害年金請求専用の8種類の書式から傷病名ではなく(日常生活での困難や働く上でのトラブルなど)症状に合わせて選択](障害認定日か現在の障害の状態を、医師が記入して証明)
- 「病歴・就労状況等申立書」(発病から現在までの状況について、医療期間を受診している期間と受診していなかった期間それぞれを、請求者本人か依頼を受けた社会保険労務士が記入)
この3つの書類について、正しく理解して事実にもとづいて準備・作成するのは難しい場合があります。
しかし、正しい理解と事実にもとづいた3つの書類をご自身で準備できた方は、他に提出が必要な書類の準備と合わせて障害年金の「請求書」を作成することは、ご自身でもできるのではないかと思います。
もちろん、障害の状態が重く必要な書類を自分だけで準備すること自体が負担だということもあるでしょう。
障害の状態について説明した上での障害年金専用書式の「診断書」記入の主治医への依頼の同行、初診日を特定する調査や「受診状況等証明書」記入の初診の医師への依頼の同行を希望する方もいらっしゃいます。
発病そして初診日から障害認定日(あるいは現在)までの受診状況や通院していない時期の状況も含めた日常生活の困難な状態の推移や働く上でのトラブルなどの問題の整理した上で、「病歴・就労状況等申立書」にまとめ上げていくことが難しいとおっしゃる方は少なくありません。
このような場合は、社会保険労務士、とりわけ障害年金請求に積極的に取り組んでいる社会保険労務士に相談し、必要な場合には障害年金請求手続きを代わりに行なうように依頼しましょう。
たとえば精神の障害による障害年金請求する上での初診日は心療内科や精神科とはかぎりません。身体の調子が悪く内科や耳鼻科を受診して通院を続けたものの改善せず精神科へ転医した場合などは、初めて精神科を受診した日が初診日になるのではなく。それよりも前に初めて内科や耳鼻科を受診した日が初診日となる場合もあります。
老齢年金と比べて、準備・提出する書類が複雑な障害年金の請求手続きに不安がある場合には、専門とする社会保険労務士への手続きを依頼することができますが、障害年金「請求書」の記入だけでしたら請求者本人で行なえるでしょう。
障害年金「請求書」を記入するだけなら、日本年金機構YouTube動画を見てできる
障害年金「請求書」を記入するだけなら、日本年金機構YouTube動画を見て請求者本人が自分でできる場合が多いと思います。
社会保険労務士に依頼する前に、動画を見てみましょう。
「(日本年金機構)障害基礎年金請求書の記入方法について」 YouTube 厚生労働省チャンネル
障害年金「請求書」を記入だけを社会保険労務士に依頼したいと思った時には、依頼する前にこちらの動画を見て、まずは自分で書いてみていただければと思います。
障害年金請求手続きを社会保険労務士に依頼するのはどんな場合か?
社会保険労務士に依頼せずに自分自身で障害年金の請求手続きを行なっても、心配ないと思われる場合
障害年金受給3要件を満たしていることが明らかで証明書類の準備・作成が自分だけでできる場合は、請求者本人が自分で障害年金の請求をすれば社会保険労務士に払う費用が発生しません。
障害年金受給3要件を満たしていることが明らかで証明書類の準備・作成が自分だけで簡単にできる場合には、専門家である社会保険労務士に依頼する必要はないといえるでしょう。
初診日が明らかであり、初診日の前日で国民年金保険料納付要件を満たしていることが明らかであり、障害認定日において障害年金の障害等級に該当していることが明らかである場合。
たとえば、交通事故で骨折で救急搬送されて初診日が明らかであり、初診の病院で通院を継続していて下肢の3大関節で人工関節・人工骨頭を挿入したことで障害認定日を迎えた方。この方が初診日にサラリーマンで厚生年金に加入していて何年も勤続していて保険料納付要件を満たしいていることも明らかである。
このような場合には、障害年金の請求について本人が手続きを行なうことに不安はないのでは、と思います。
もちろん、このようなケースで社会保険労務士に障害年金の請求手続きを依頼することは問題ありませんし、依頼される方も少なくありません。
しかし、障害年金受給3要件を満たしていることが明らかなケースで、適切な内容で記載された、「受診状況等証明書」と障害年金請求専用の「診断書」と診断書とは別に自分の障害の状態などについて本人が申し立てることができる「病歴・就労状況等申立書」を過不足なく記入して準備ができている。
このような場合に、障害「年金請求書」の作成と提出だけを社会保険労務士に依頼したいという方がときどきいらっしゃいますが、社会保険労務士に依頼することなく本人がご自身でできるでしょう。
障害年金の請求手続きを社会保険労務士に依頼することを検討するのはどんな場合?
この記事のはじめに例をあげましたが、請求者本人が障害年金を請求する上で難しく感じたり不安があるというときには、障害年金の請求手続きを社会保険労務士に依頼することを検討していただければと思います。
たとえばですが、
- 現在通院中だが、初診から長い年月が経過していて、転医を繰り返していて初診がどの病院か整理できていないため初診日が特定できていない。
- 精神疾患で通院中だが、精神科を受診する前に内科や耳鼻科を受診していてどちらが初診となるのか判断できていない。特定された初診日がいつになるかによって保険料納付要件を満たすかどうかが変わるが、どう考えて良いか相談したい。
- 保険料納付状況を年金事務所で自分の代わりに調べてほしい。
- 病歴・就労状況等申立書を作成して自分の障害の状態を判断する参考に医師に渡したいが、事実に基づいて適切な申立書を作成してほしい。
- 障害の状態が重くて手続きを自分で行なうのがつらいので、専門家に依頼したい。
いくつか例示しましたが、請求者本人が自分だけで障害年金の請求手続きの準備から請求まで行なうことが難しいあるいは不安に思うときには、社会保険労務士に手続きの依頼をしていただければと思います。
【編集後記】
わたしが好きな色は、青です。
Amazonブラックフライデーで買ったApple Watchケース。
マットで落ち着いた青で気に入っています。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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