「会社を退職しましたが、在職中の仕事でのケガ(や病気)で労災申請できますか?」という質問をうけることがあります。
大丈夫です、労災申請できます。
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在職中に労災保険の給付を受けていた。退職後も引き続き給付をうけられる
- 労災保険から給付をうけていた労働者は、会社を辞めたあとも引き続き保険給付をうけることができます。
- 労災保険から給付をうけて治ってから退職した。退職後に病気やケガが再発したときも労災保険の給付をうけられます。
こちらの記事で紹介しました。
【労災保険】治って退職後に再発。休業補償を受けられる?
「退職」後でも在職中の仕事でのケガ・病気で労災申請できる。解雇・辞職・合意解約は問われない
在職中には労災申請(労災保険給付の請求)をしていなかった。
ありうる話です。
- 悪化せずにすぐに治るだろうと思っていた。ところが退職後に休養していたが治らずに働けない。
- 労災保険のことをよく知らなかったので復職できないまま労災申請せずに退職してしまった。
- 在職中の仕事が原因となって退職後に病気が発症した。
退職後でも、在職中の仕事でのケガ・病気で労災申請できます。
Q 既に退職していますが、在職中は石綿を取り扱う作業に従事していました。中皮腫や肺がんを発症した場合、退職後でも労災認定は受けられるのでしょうか。
A 労災保険給付を受ける権利は、退職しても変更されません。
したがって、退職された後であっても、労災認定を受けることができますので、労働基準監督署にご相談ください。
雇用・労働 よくある質問 厚生労働省
労災保険の「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。」(労災保険法第12条の5)
- 労災保険の給付を受けていた労働者が会社を退職したあとも、引き続き保険給付をうけられます。
- 労災保険の給付をうけて病気やケガが「治った」あとに会社を退職した。退職後に病気やケガが再発した場合も再び労災保険からの給付をうけられます。
- 在職中には労災申請(労災保険給付の請求)をしていなかった労働者が、会社を退職後に労災申請しても労災保険から給付をうけられます。
労働災害(労災)は使用者(会社)との労働関係が前提になっています。
辞職、解雇、合意退職。
労働契約が終了して労働関係が消滅してしまうと、労災保険の給付をうける権利も消滅してしまうのではないか?
労働者(サラリーマンやアルバイト、パートなどの区別にかかわりなく)であるから受けられる労災保険は、退職してしまったらもう労災保険からの給付を受けられないのではないか?
そう思いがちではありますが、労災保険から給付をうける権利は労働者が「退職」してもなくなることはありません。
退職後も引き続き労災保険の給付を受けられますし、退職前に労災申請していなかった場合でも退職後に労災申請(労災保険給付の請求)をして給付を受けることもできます。
労災保険法第12条の5(1項)
保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。
法律の条文には「退職」とありますが、労働契約の終了の理由は問われません。
- 辞職(自己都合退職)
- 合意退職(会社かあなたのどちらかが労働契約の終了を申し込んで相手が合意した退職)
- 期間の定めがある労働契約の期間満了による退職
- 定年退職
- 事業の廃止(倒産など)
- 解雇(会社から解雇された)
労働契約終了の理由にかかわらず、退職後も労災保険の給付をうける権利は消滅しません。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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