「退職勧奨 失業手当」で検索してBlogを読みにきていただいた方がいます。
退職勧奨を受けて退職したとき、失業手当はどうなるのでしょうか?
Contents
「退職勧奨を受けて退職」は会社都合の離職
退職勧奨は断ることができる
労働者は退職勧奨に応じる義務はありません。
退職したくない場合は、はっきりと断りましょう。
労働者が退職勧奨にたいしてはっきりと断っているのに、退職金を増額するなどの退職条件の上積みもなく同じ内容でしつこく退職勧奨を繰り返す退職強要は違法でゆるされません。
退職勧奨に応じて退職するなら、会社都合退職であることを明らかにする
もしも退職勧奨を受けて退職する場合は、失業手当(雇用保険の基本手当)は会社都合の退職とあつかわれ「特定受給資格者」になります。
退職勧奨で退職した特定受給資格者は、自己都合退職とくらべて失業手当を有利に受けとることができます。
退職勧奨をうけて退職する場合には、自己都合退職としてあつかわれないように注意しましょう。
退職勧奨をうけた退職では、退職に関する合意書を会社と締結しましょう。
退職合意書の作成にあたっては、会社からの退職勧奨に応じて退職するという会社都合退職であることと、上積みの退職条件があればその内容も記載したものであること、不利な内容が記載されていないことを確認します。
上積みの退職条件がない場合でも退職合意書を締結するのが良いですが、少なくとも退職勧奨を受けて会社都合による退職であることを記載した退職届を出します。
「一身上の都合により退職」などと記載した退職願を出してはいけません。
会社からの退職勧奨に応じて退職することは解雇ではなく、会社と労働者の合意による退職です。
合意退職だからといって、自己都合退職になるわけでもありません。
退職勧奨による合意退職は、自己都合退職ではなく会社都合退職であることを明らかにすることが重要です。
「離職票」の「離職理由」は確認する
失業手当を受けとるためには「離職票」を持ってハローワークへ手続きにいきます。
退職した会社から離職票が届いたら「離職理由」を確認します。
離職理由の「事業主記入欄」
「事業主からの働きかけによるもの」の「希望退職の募集又は退職勧奨」の□のなかに「○」がついていますか?
「労働者の判断によるもの」の「労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合、転職希望等)」の「その他」などに「○」がついていると会社都合退職ではなく自己都合退職であると会社が届け出ていることになります。
離職理由の「離職者記入欄」
「離職者記入欄」に「事業主からの働きかけによるもの」の「希望退職の募集又は退職勧奨」の□のなかに「○」を記入します。
「具体的事情記載欄(離職者用)」には、会社都合による退職勧奨を受けて離職したことがわかる記載をします。
「離職者本人の判断」には、事業主が○を付けた離職理由に異議「有り」をかこみます。
離職票
記入例:雇用保険被保険者離職票-2 から作成 ハローワークインターネットサービス
【退職勧奨をうけて退職】は失業手当をすぐに受けとれる
退職勧奨をうけて退職するのは、失業手当をうけるうえで会社都合の離職になります。
会社都合の離職は、失業手当をすぐに受けとれます。
失業手当(雇用保険の基本手当)を受けとるまで | 待期期間 | 給付制限期間 |
---|---|---|
会社都合による離職した方。
(例) |
7日間 | なし |
正当な理由がなく自己都合により離職した方 | 7日間 | 2ヶ月 (2ヶ月〜3ヶ月) |
自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇で離職した方 | 7日間 | 3ヶ月 |
失業手当は、ハローワークで手続きをして7日間は受けとれません。
ハローワークで手続きをしてから7日間の待期期間がすぎてから失業手当を受けとることができます。
自己都合退職した方はさらに2ヶ月、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)された方は3ヶ月、待期期間が満了されてから給付制限期間があります。
会社都合で離職した方は、給付制限期間(2ヶ月・3ヶ月)がありません。
退職勧奨をうけて退職するのは会社都合の離職になりますので、待期期間7日すぎるとすぐに失業手当を受けとれる期間にはいります。
【退職勧奨をうけて退職】は失業手当を多く受けとれる
退職勧奨をうけて退職するのは、失業手当をうける会社都合の離職になります。
会社都合の離職は、失業手当を多く受けとれます。
退職勧奨をうけて退職した方は、自己都合退職した方と比べるとと「所定給付日数」が多くなります。
(30歳未満で雇用保険の被保険者であった期間が5年未満だった方の所定給付日数は90日で同じ日数です。)
所定給付日数とは、失業手当(雇用保険の基本手当)の支給を受けることができる日数のことです。
【編集後記】
寒い〜!と思っていたら雪です。(2022/01/06)
この冬の初雪。
転ばないように気をつけましょう。
もしも、通勤や仕事で雪で転んでケガをしたら労災です。
労災申請をわすれずに。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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