Contents
障害年金を請求するためには“初診日”が大切
障害年金を請求するためには、障害の原因となる病気やケガで初めて医師の診療を受けた日、初診日を明らかにすることが大切です。
障害年金を受け取るためには、(1)保険料納付(2)初診日(3)障害状態の3つの要件を満たすことが必要です。
初診日を明らかにすること自体が障害年金を受け取るための要件ですし、保険料納付要件は初診日の前日でみますし、障害状態に該当するかどうかを確認する障害認定日は初診日から1年6ヶ月を経過した日です。
障害年金を受け取るための3要件いずれにも初診日が関わってきます。
3つの要件 | 内容 |
---|---|
(1)保険料納付 | 初診日の前日に、一定の保険料を納付している(または免除を受けている)。 |
(2)初診日(障害厚生年金) | 初診日に厚生年金に加入している。→障害厚生年金(+障害基礎年金) |
(2)初診日(障害基礎年金) | 初診日に国民年金に加入している(または20歳未満、日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で老齢基礎年金を受給していない方)。→障害基礎年金 |
(3)障害状態(障害厚生年金) | 障害認定日に1級2級3級の障害状態に該当している。 |
(3)障害状態(障害基礎年金) | 障害認定日に1級2級の障害状態に該当している。 |
初診日は受診状況等証明書という書類に医師が記入して証明します。
初診から現在まで同じ病院の同じ診療科に通院しているという場合は、初診日の証明が難しくありませんが、初診の病院から別の病院へと転院している場合、
初診日を明らかにすることが難しい場合があります。
病院が廃院してなくなってしまっている、病院に行かなくなって5年を超えてしまってカルテが廃棄されてしまっているということがあるからです。
将来、症状が重くなる心配がある場合には、初診の医師に受診状況等証明書を記入してもらっておいて大切に保管しておくことも検討しておきたいところです。
こちらの記事で紹介しました。
「障害年金。受診状況等証明書(初診日証明書)はできれば早めにもらっておきたい。」
しかし、原因がよくわからずに調子が悪くて病院にはじめて行き、結果として長い期間経過して障害年金を受け取れる障害の状態になったという場合は、初診の病院が廃院してなくなってしまっていた、初診の病院に行かなくなって5年を超えてしまってカルテが廃棄されてしまっていたということがあります。
この場合は現実的には、初診の医師に受診状況等証明書を記入してもらっておくことは難しいでしょう。
受診状況等証明書が入手できない場合でも、受診状況等証明書が添付出来ない申立書に第三者証明などの参考資料を合わせて提出することができますが、今回の記事は廃院などで初診の医師による受診状況等証明書が入手できない場合でも、初診ではない2番目以降の病院で記入する受診状況等証明書で初診日を特定するための方法です。
初診の病院から2番目以降の病院のカルテに(障害年金を請求する)あなたが話した初診日の記録があるか?
初診の病院から別の病院へと転医した場合、初診の病院からの紹介状があって初診日が確認できる場合があります。
あるいは紹介状をもらわずに転医した場合でも、転医した先の病院のカルテにあなたが話した初診日が記録されていた場合は、障害年金を請求する5年以上前(※)のカルテであれば初診日の証明がされたことになります。
「請求者の申立てに基づき医療機関が過去に作成した資料の取扱いについて」という厚生労働省の通知で認められています。
初診の病院から、別の病院、さらに別の病院へと転医する場合も事情によってあるでしょう。
その場合は、転医した先の病院の医師に初診の病院・初診日について、さらに転医した場合はさらに転医した先の病院の医師にも症状の経緯などもきちんと話しておきましょう。
(※)5年以内であればカルテが保存されていますから初診の病院で受診状況等証明書を記入してもらいます。
第24条医師法
医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
障害年金「請求者の申立てに基づき医療機関が過去に作成した資料の取扱いについて」
第3 その他の初診日の取扱いについて
1.請求者の申立てに基づき医療機関が過去に作成した資料の取扱いについて
請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)に請求者申立ての初診日が記載されている場合には、初診日と認めることができることとする。また、当該資料が、請求の5年以上前ではないが相当程度前である場合については、請求者申立ての初診日について参考となる他の資料とあわせて初診日を認めることができることとする。
ただし、この場合に参考となる他の資料としては、診察券や入院記録など、請求者の申立て以外の記録を根拠として初診日を推定することが可能となる資料が必要であり、請求者又は請求者の家族等の申立てに基づく第三者証明は含まれないものとする。
『「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」の一部改正について〔国民年金法〕』(平成31年2月1日)
(年管管発0201第8号)
新宿西口の夜景 高層ビルと銀杏の樹
今日の1日1新 『賀茂鶴』(賀茂鶴酒造)
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日